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閑話 王都裏路地での物語

王都の中央市場。

露店の軒が色とりどりに並び、人々の声が重なる。


「これ見て!金細工の耳飾りだって!」

「こっちは魔導薬の露店よ。持って帰ればディメストリアで売れるかも。」

「こ・・このお酒は!!!」


リノア、アリシア、ミラの三人は、

誠から渡された財布を片手に、次々と買い物袋を増やしていた。


すでに両手いっぱいの袋を抱えたリノアが、

一息つこうと人通りの少ない裏通りに入った瞬間――


「おい、嬢ちゃん。ちょっといいか?」


粗末なマントを羽織った、

見るからに素性の怪しい男が二人、

路地の奥からにじり寄ってきた。

________________________________________

「王都の嬢ちゃんが、そんなに金持って歩くのは危ねぇんだよなぁ……?」

片方がニヤつきながら、

リノアの肩に手を置こうとする――

________________________________________


「……触んないで。」

リノアが、袋の中からそっと取り出したのは、

小型の金属筒。

魔石が細かく装飾されたそれは、

試作されたばかりの“魔力式スタンガン”。


「な、何だそ――」


バチッ!!

乾いた小さな音。

次の瞬間、チンピラの体がビクリと跳ね、

白目を剥いて路地の石畳に倒れ込んだ。


残ったもう一人が慌てて逃げようとするが、

リノアはちらりと睨むだけで、

もう一発、筒の先を向けた。

「次はあんたよ。」

「ヒィィッ!!」

男は悲鳴をあげて一目散に路地裏から転げて逃げていった。


ミラとアリシアが路地に駆けつけて、

気絶したチンピラを見て言葉を失った。



「……リノア、それ何?」

ミラが足元の気絶した男をつつく。

リノアは、魔導スタンガンをくるくると回して胸ポケットに収める。

「これ?誠に協力を頼んで作ってみたの。護身用に持ってきて正解だったわ。」


アリシアが小声で呟いた。

「これ……本当に気絶するのね……。」


「そうね、対魔物用に開発中だからね。

魔石を細かく砕いて媒体にしてあるのだけど、1度に使えるのはせいぜい3回くらいだから

まだまだ試行錯誤が必要かな。」


ミラはチンピラを覗き込み、

やがてしみじみと呟いた。

「……なんか、可哀想だね……。

ちょっと声かけただけで最新兵器で気絶させられて……。」


アリシアも首を縦に振る。

「まぁ、リノアに手を出したのが運の尽きだったわね……。」


路地に、哀れなうめき声だけが残る。

リノアは袋を持ち直すと、

何事もなかったかのように振り返った。


「さ、買い物の続きに行きましょ♪まだまだ見たいものいっぱいなんですから♪」


ミラとアリシアは気絶したチンピラを見下ろしながら、

そっと両手を合わせた。


「――合掌。」


こうしてディメストリアの女たちは、

密かに王都の裏で治安を守っていた――。


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