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◆第10章 再び王都

王都の石畳に馬車の車輪が止まった瞬間、

ミラが誠の袖を引っ張った。


「さーて!王都だー!行こ、誠!市場!酒場!屋台――!」

だが誠はふっと笑って、

懐から袋を取り出した。



「ほら。これ、3人分だ。

自由に使え。好きなものを買え。」


「えっ……でも……」

アリシアが困惑した顔を向ける。

リノアも唇を尖らせて反論しようとするが、

誠はゆっくりと手を振った。


「お前たちはここまで付き合ってくれたんだ。

せっかくの王都だ、好きに楽しめ。」


小袋の中の硬貨は、

軽く1ヶ月は遊んで暮らせるだけの額が入っていた。


ミラは一瞬だけ口を尖らせたが――

すぐに気持ちを切り替えて拳を振り上げた。


「いえーーーーい!王都酒場ツアー決定ーーっ!!」


アリシアも笑みをこぼし、リノアも仕方なさそうに頷く。

「……ありがとう。じゃあ、遠慮なく。」


馬車の扉が開くと、

女神の街から来た3人の女性たちは、

あっという間に人混みへ消えていった。

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誠は馬車の扉を閉めて、

古びた城壁と石造りの街並みを一人見上げた。

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■ かつて追放された街を歩く

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人々の賑わいの中に、誠の姿だけが異質だった。

石畳の上をゆっくりと歩くたび、

頭の片隅に過るのは、

勇者召喚の間で浴びせられたあの言葉――

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『無能』『役立たず』『お荷物』――

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誰もが誠を必要としないと言い放った、あの空気。

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しかし今――

街の空気は違って見えた。

遠くで鐘の音が鳴り、

市場には異国の香辛料の香りが漂い、

衛兵の鎧が太陽の光を弾いてきらめいていた。


誠は胸の奥で、小さく呟く。


「……変わったのは、俺か……。」




路地を曲がり、小さな噴水の前に差し掛かったときだった。

ふと人混みの向こうで、

派手なマントを翻し、街の子供に笑顔で話しかける男の姿が目に入る。

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金髪で、整った顔立ち、

背中には豪奢な装飾の剣。

誠の脳裏に、召喚の間で隣に立っていた“あの日の姿”がよみがえった。

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―一緒に()()に来たあの男だー

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少年たちがはしゃぎながら勇者と言われている男の周りを取り囲む。

「お兄ちゃん、剣見せてー!」

「すごい!光ってる!」

男は子供たちの頭を撫で、

優しく微笑む。

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その横顔を、誠は無言で見つめた。

そして、男もふとこちらに気付く。

一瞬――時が止まったようだった。

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男の目が大きく見開かれ、

その手がゆっくりと剣から離れる。

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「あれ?お前は……?」

小さく、息を呑むように。

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誠は一歩、噴水の縁に腰を下ろした。

「久しぶりだな――えっと、名前…」

暁斗あまぎ あきとだ」

「同郷なんだから、気軽にアキトと呼んでくれ。」

「そっちは?」

「誠だ」

「そうだな、こっちも気軽に名前で呼んでくれ。」


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交わる視線 ― 再会の始まり


かつて、同じ場所に立ったはずの二人。

だが今は、

一人は“役立たず”と追放され、

一人は“英雄”として人々に囲まれている。


その空気の中に、

何が生まれるのか。

誠の胸の奥に小さな笑みが宿った。


「誠、少し……話すか?」


アキトの瞳が僅かに揺れた。

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