表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/36

■ ディメストリア への来訪者

《ディメストリアの杯にて》

禁酒生活が明けてから毎晩のように夜な夜な酒を煽るミラの笑い声が、店内に響いていた。

誠は片付けを手伝いながら、背後に立つ誰かの気配を感じる。




「……誠。」

声をかけてきたのはリノアだった。

手には山のような設計図



「……なんだ、その山は。」


誠が苦笑すると、リノアはぷいと横を向く。

「ミラにだけ好き勝手に“専用”を与えて、私には無いなんて不公平よ。」

彼女は紙を叩いて続けた。


「私の頭の中には、この街を守るための魔法装置の図面、

発電炉の改良案、武具の新設計、生活用品の改良図――全部詰まってるの。」



リノアは誠をじっと睨む。

「私にも“専用”を。

――私の工房を造って。」


誠は笑った。

「もちろんだ。お前の頭の中の知識が街の礎だ。

“リノア専用”の、世界一の工房を作ろう。」



誠の胸の紋様が青く光を放つ。

神殿広場の一角に、古代神殿の構造を流用した石造りの大きな建物が立ち上がる。

巨大な作業台、魔法道具を収納する壁一面の棚。

魔力炉と換気塔を繋ぐ排気システム。

隣には生活棟を兼ねた小さな居室と書庫。



屋根には“ディメストリアの象徴”の女神紋が刻まれている。

リノアは完成した工房に一歩踏み入れ、

真新しい石の床に手を触れた。



「……ありがとう。これで、私も全力で作れる。」


それからリノアは毎日工房に閉じこもった。

もちろんご飯は食べに来るが、そのあとはすぐに工房に戻ってしまう。

ちゃんと寝ているのだろうか。


その間にも誠たちはこの街をよくするために翻弄した。


だが街がどれだけ便利でも、外と繋がらなければ人は集まらない。

「ディメストリアを“安全”だと知ってもらうには――

街道を整備して、誰でも来られるようにする必要がある。」

誠は仲間たちに告げた。



〈空間再構築〉が、森を切り開き、古い獣道を石畳の街道へと変える。

倒木や巨岩は切り離されて整備材に生まれ変わり、

川には石橋が架かり、街と街が繋がっていく。



だが街道が出来ても、問題は魔物だった。

「魔物さえ寄り付かなくできれば、人々は恐れずにここへ来る。」




翌朝――

工房から出てきた彼女が誠に差し出したのは、小さな光る結晶。

「これは“魔力干渉波”を周囲に放つ装置。

魔物は特定の魔力周波数を嫌うことがわかったの。

街道沿いにこれを一定間隔で埋めれば、獣も魔物も近寄れない。」

誠は結晶を受け取り、頷いた。


これを作るために彼女はずっと閉じ籠っていたのだ。



「ありがとう、設置は私たちに任せてゆっくり休んで」


〈空間再構築〉で切り取った土を掘り、魔物避けを街道沿いに配置していく。

埋め終えた瞬間、周囲の空気がわずかに澄み、森の奥から不気味な鳴き声が遠ざかっていく。


それから数週間後にはあっという間に

噂を聞きつけた人たちが街に訪れ、驚き

この街に住みたい人々が殺到した。

遠い街からも旅商人の姿がちらほらと現れ始めた。



誠は夜の街を見渡す。


そして、何か1枚の箔が押された紙を読んでいる。


その時に聞き覚えのある声が聴こえた。

「誠、久しぶりね。全然呼んでくれないから私から来ちゃったわ。」


「シェリス、久しぶり ずっと忙しくてね。外界の暮らしはどうだい?」


「もう、最高!って思ってたんだけど、この村から活気を感じたから寄ってみたらもう驚きよ。」

村を見回してみたら、ってもう王都よりすごい建物が並んでいるだもの。」

シェリスは興奮気味に答える


「私があげたスキルも役に立っているようで良かったわ!で、何を読んでたの?」

シェリスが覗き込む。


「ほらこれさ。」

誠はそういって、シェリスにその紙を見せた。


内容としては

爵位を受勲する。正式に新しい街に領主として就任し腰を落ち着かせてほしい。


って感じだった。

変な貴族が来て、街を横取りされるのは困るのでこれは行くしかない。

あの追放した国王に会うのは正直嫌だけど、みんなで一生懸命に作り上げた街だから仕方ない。


「ねえ、私もここに住んでもいい?」


「もちろんさ!」


かつて誰も住まなかった廃村は、今――

灯りと笑い声に満ちた《ディメストリア》へと生まれ変わった。

________________________________________

これがまだ、始まりにすぎない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ