■ 女神像を再配置
大聖堂へ意識が戻った誠は、光の余韻をまだ感じていた。
胸に刻まれた青い紋様が、時折ふわりと光を放つ。
同じように胸に刻まれた祝福の痕跡を感じ取っていた。
鑑定も行い、各々の能力も分かったのでこの地を後にしようとした時
「この女神像…ここに置いたままにしておくのは惜しいわ。」
アリシアがぽつりと言った。
誠は女神像を見つめる。
白大理石で形作られた女神ディメトリアの像は、光を反射して柔らかに輝いている。
大聖堂の中心で祈るように立つその姿は、廃村にとって新たな希望の灯になるに違いない。
なるほど、確かに加護を貰って
はい、さようなら!ってゲームじゃないもんな。
誠も頷き、新しいスキルを使えば上手くいきそうな気がしてきた。
「このままここに置いておくより、村に持ち帰ろう。
廃村の中心に祀って、みんなの拠り所にするんだ。」
仲間たちは驚いた顔をしたが、誰も反対しなかった。
むしろ、目には期待の色が宿っていた。
「女神様、失礼します」
誠は深く息を吸うと、女神像の前に立ち、手を伸ばす。
【スキル〈空間再構築〉を発動します】
胸の紋様が青く輝き、女神像の輪郭が空気から切り離されるように浮かび上がった。
石造りの台座ごと、まるで宙に浮かぶかのように女神像が淡く光を放つ。
「空間を切り取って……移す。」
誠の声に呼応するように、女神像は光の箱に収められ、ふっと誠の背後に開いた小さな青いゲートへと吸い込まれた。
「とんでもないスキルじゃない・・・」
ミラが感嘆の声を漏らす。
「このスキル……本当に無限の可能性があるわね。」
アリシアが苦笑しながらも、どこか誇らしげに誠を見た。
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廃村に戻った一行。
村の広場には、新たに古代神殿から回収した虚核石をもとに作った神殿が設置された。
(古代神殿そのものをスキルで収納できたのには冷汗が止まらなかったが・・・)
月明かりに照らされ、かつての廃墟とは思えないほど神秘的な雰囲気を纏っていた。
誠は広場の中心に立つと、静かに目を閉じた。
「――ディメトリア様。あなたの像を、この村の守り神にさせてください。」
小さくつぶやくと、胸の青い紋様が再び光り、先ほど収納した女神像が現れる。
柔らかな光を帯びて、白い女神像がゆっくりと地面に降り立つ。
石畳に置かれた瞬間、周囲の空気が清められたように澄み渡った。
森から吹く風が女神像の周りをそよぎ、心の中で声が聴こえた。
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「我、この地に祝福を与えん」
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「誠、この村はここから始まるのね」
アリシアが誠の隣でそっとつぶやいた。
誠は女神像を見上げながら、力強く答える。
「そう、ここからが始まりだ。この村を……もう二度と廃村なんて呼ばせない。」
月明かりの下、ディメトリアの白い像は穏やかに輝いていた。
そして誠の胸に刻まれた空間の理は、これから村を守り、仲間を支え、まだ見ぬ世界を切り開く力となっていく――。




