◆第8章 廃村を再生しよう
ダンジョン攻略を終えた面々は遂に廃村のラズン村への道を開通する事に成功した。
元のラズン村へ向かう唯一のトンネルに戻ったのだ。
「これでまずは第一段階だな」
誠がふうと一息。
「そうね、折角開拓しなおした村にもダンジョンからモンスターが来ないとも言い切れないものね。」
アリシアは既に開拓に成功した後の妄想をしている。
いや、気が早いでしょ!
「あ、見えてきましたよ!」
リノアが廃村を見つけて小走りで駆けていく。
「これは中々ひどいね・・・」
ミラが廃村を見回している。
「おや、どこかで声がするような?」
「タ・・・ス・ケ・テ・・・」
皆は聞こえる?
3人の女性たちは首を振る。
「気のせいか?」
「レイスかもしれないね」
ミラはリノアに向けて囁いた。
「ぎゃああああ!」
って私が驚くとでも思ったんですか?
「科学を愛する私がそんな非科学的なものを信じるわけがないじゃないですか」
リノアはミラを見ながらふふんと鼻息を鳴らした。
「いや、まあモンスターの一種だから現実に見たことあるんだけど、まあいいわ」
ミラは話をするのを辞めた。なんか小さな子に小馬鹿にされたような気がしたからだ。
さて、まずは
「リノア、この村には何が必要だと思う?」
「そうですね、はっきり言ってこんな所まで来てくれる人たちは居ないと思うのでいっその事、
現代の建物を参考に発電施設とかも作って、観光名所も作りましょう。村ではなく街を想定して街の真ん中には噴水が欲しいですね。」
「今、村全体の構想図と建物の設計図を書いてみますね。」
リノアはわくわくが止まらないようだ。
「では私はちょっと水源を探してきますね。ミラも一緒に来てくれますか?」
「いいわよ、何処かに古井戸くらいはあると思うから探しましょ。それが無ければ山から水を引いてこないと」
ボロボロの廃屋街を巡りながら、キョロキョロと井戸を探す。
「あれ?これってもしかして祠?だったんじゃない?手前に鳥居があるわ」
大きな岩が小さな祠?を潰している。上を見上げると
これは背面の山の崖崩れが過去にあったと想定される。
「誠を呼んできて」
アリシアはすぐに頷いて、リノアを設計図を眺めながら妄想している誠を連れてきた。
「どうしたんだ?」
誠は不思議そうにミラに問い掛ける。
「誠、この岩動かす事はできる?多分だけど廃村になってしまった理由はこの祠に原因があるよ」
ミラの言葉に誠はうなずき
《スキル〈再配置〉》を発動し大岩をすぐ隣に動かした。
と同時に小さな青い光が飛び出した。
「やっと出られた~!!」
その小さな光が凄い速さで宙を舞ったかと思えば誠の肩に寄ってきた。
「あなたが助けてくれたのね、ありがとう」
小さな青い光から声がする
良く見てみると小さな羽根も生えている。
「アタシは水の精霊、シェリスよ」
4人は顔を見合わせて固まった。