■ ダンジョンでの魔法指導
_________________________________________________________________________________________________________________
ダンジョン中層――
空気は重く、壁には自然発光する鉱石の光がぼんやりと灯っている。だが、誠たちの足取りは軽い。中層に差し掛かったというのに、これまでの戦闘はどこか拍子抜けするほどだった。
「――次の部屋、大型反応。複数体」
アリシアが風の感知魔法で警戒を呼びかけると、リノアが手を前に出す。
「準備、できてる。来る前に魔力循環、してあるから……」
そして、ドン、と音を立てて扉が開くと同時に現れたのは――鋼鉄の体に雷を纏った大型の魔獣×5体。
「よし、ミラさんに教わった魔法を更に応用して」
ズドォォン!!!
まばゆい閃光とともに、リノアの放った創作魔法――《電磁収束砲》が一体を粉砕。壁まで抉れ、残りの魔獣たちが一瞬ひるむ。
「……え、なんか出力間違えたかも」
リノアが頭をぽりぽりとかく。
「いや、今の威力、完全に上級魔法……」
アリシアが震える声で呟いた。リノアはまだレベル11だ。にも関わらず、既に戦況をひっくり返せる力を持ち始めていた。
_________________________________________________________________________________________________________________
ダンジョンの上層でミラに魔法のコツを教わったのだ。
リノアの持っているスキルは非常にレアで本来なら魔法発動時に飛散してしまう細かな魔力も散らさずに、集中させて放てる。
リノアは一人でぶつぶつ言いながら「ライト(初級)」ってそもそも何の原理で光るの?電磁波の一種?であれば、光子の集まり?
_________________________________________________________________________________________________________________
光は、電場と磁場が相互に振動しながら空間を伝わる電磁波の一種であり、その振動の周波数(波長)によって様々な色として認識。
光は、可視光線、紫外線、赤外線など、様々な種類の電磁波が含まれており、それぞれが異なるエネルギーを持っている。
光が物質に当たることで、物質の電子が励起されたり、振動したり、回転したりする。これらの変化は、物質の分子構造を一時的に変化させ、物質の化学反応を促進したり、物質の性質を変化させたりする可能性もある。
例えば、光を照射することで、分子の異性化反応が起こったり、分子が分解したり、光を吸収して熱エネルギーに変換されることもありえる?物質と相互作用することで、分子構造を変化させ、様々な現象を引き起こす可能性は?いや、そもそもこの理論がこの世界に・・・・
_________________________________________________________________________________________________________________
「おーい、リノアさーん・・・」
「ぶつぶつぶつぶつt」
いや、ついていけないよ・・・
そして色々考えた末に出した答えが「ライト(初級)」⇔「電磁波」の集合体
よってそこからイメージを強く持つことで「創作魔法――《電磁収束砲》
が完成した。男のロマンじゃないか。
せっかく武器屋で高いお金を出して追加で買った杖が無駄になったけどね!!
そして、その《電磁収束砲》をかわした敵に向かって弓を引くのは、黒帽子のミラ。
だが――
「ふう……ここらで、ちょいと本気、出しましょうかね……」
耳元のピアスが光ると同時に、空気が変わった。黒い帽子がふわりと飛び、そこから現れたのは――長く、美しい銀の髪。そして鋭く光る翠の瞳。
「んんっミラさんが真面目な顔してる!? 」
リノアが驚く。誠も思わず言葉を失う。
「いや、それは私に対して失礼でしょ!!」
次の瞬間、弓に炎がまとい――
キィィィィィィィィィン――ズバアアアアァン!!
まるで一陣の嵐が抜けたかのように、残り4体の魔獣が、瞬時に貫かれ、炎が舞って塵となる。
一撃、すべてが一撃だった。
「え、えぇ……?」
アリシアが膝から崩れ落ちた。
「この攻撃力で……な、なんでB級!?」
誠が呆然と問う。
「うん、あたし、昔ちょっとギルドの預かり金で酒場のツケ払ったことがあってねぇ……上には上げてもらえないのよぉ。ははっ」
一同:「いや、致命的ッ!!」
_________________________________________________________________________________________________________________
「……なあ、これ、俺たち……」
誠がぽつり。
「オーバーキル、なんじゃないか?」
全員がうなずいた。
だが――そのとき、ダンジョンの奥から、さらに不穏な気配が漂ってくる。
次の階層へ行くべきか、撤退すべきか――誠たちは、決断を迫られるのだった。
いや、廃村に行くためにはこのダンジョンクリアしないと行けないけどね!!