■ 質屋へ・・・
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翌朝、宿屋を出てすぐに質屋へ・・・
質屋の前に立つ誠たち一行――そして、元気に両手を挙げるミラ。
「さあ、来ましたよ! 私の戦闘の魂、取り戻しの時だっ!」
店構えはそこそこ立派だが、中は非常に薄暗い。
「本当にここにあるのか?」
誠が念のために確認すると、ミラは自信たっぷりに胸を張った。
「ええ! 一番高く買い取ってくれたこの町の質屋さんですから!」
「高く買い取ってくれたって……それ、自慢になってない」
アリシアが額を押さえる。
中に入ると、年配の質屋の店主がレジ裏で腕を組みながら不機嫌そうに立っていた。
ミラはすたすたとカウンターに近づき、質札をバンと置いた。
「へい! この札の品、引き取りに来ました!」
「お金もこの中よ!」
金貨の入った袋を出した。
昨晩、誠に借金した金貨15枚だ。
後から絶対返してもらうからなと念押ししておいた。
店主はそれを手に取ると、一瞬顔をしかめてから棚の奥に行き、大きな布に包まれた何かを持ってくる。
布を取ると――
「じゃーん! これが私の精霊武具、《炎纏いの弓》ちゃん!」
ミラが目を輝かせて掲げる。
「……あんた、本当にそれを手放したの?」
「背に腹は代えられなかった……ギャンブルって、やっぱり魔物だよね……」
どこか遠い目をするミラに、アリシアは「どの口が言う」とツッコむのをこらえていた。
ところが、そこで店主が一言。
「お代が足りねえな」
「え?」
「利子がついてる。引き出しには金貨二十枚必要だ」
「に、にじゅうっ!? 利子で15枚じゃなかったの!?」
「これじゃ足りない、酒代も借りたいって泣きついてきてたじゃねえか、お前」
「……」
誠たちは、無言でミラに視線を向けた。
「あ、忘れてた・・・・」
「しょ、しょうがないじゃない……酒は命の水……」
ミラが縮こまるように呟いた。
「仕方ない。今回は俺が立て替えるよ」
誠がため息をつきつつ金貨を取り出すと、ミラはその手にしがみつき――
「けっこうなお代ですけど! この恩は体で返します!!」
「言い方ぁ!!」
リノアのツッコミが全力だった。
「戦闘でね!? 戦闘で返しますからね!? 真面目な意味だからね!?」
質屋の店主が「よかったな、姉ちゃん。お金の目途が立たないならもう少しでオークションに出そうと思ってたからよ。」とつぶやく中、ミラは無事に武器を回収。
ミラは武具に頬ずりしてる。
そんな大事なら質屋に入れるなよ・・・・
戦闘準備も整い、誠たちはついにダンジョン攻略へと向かうのだった。