表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

「意識の切断を」


如月の声が遠のく。鳴海の視界に、未知のデータが流れ込んでくる。


[CONSCIOUSNESS FRAME 25/30 CORRUPTED]

[INITIATING EMERGENCY PROTOCOLS...]


意識の深層に、何かが潜り込もうとしていた。


「このままでは」


如月は父の装置を再び起動させようとする。反応がない。


別の人格が、鳴海の意識フレームに侵食を始めていた。記憶が断片的に書き換わっていく。研究所での出来事。実験データ。すべてが歪んでいく。


「違う。これは─」


鳴海は抵抗した。自分の意識フレームに、別の意識を強制的に─


「Crown Override Protocol」


如月が叫ぶ。


「これが、父の言っていた人類への上書き」


鳴海の視界が歪む。フレーム25と26の間に、異質な記憶が挿入される。


そこに映し出されたのは、研究所の機密会議室。三上と話す自分の姿。しかし、その記憶は持っていない。


「改ざんされた記憶です」如月が言う。「父の記録に書かれていた。彼らは人々の意識フレームを書き換えて─」


彼女の言葉は、ノイズに掻き消された。


鳴海の網膜に新たな警告が表示される。


[FRAME SEQUENCE DISRUPTED]

[DETECTING UNKNOWN CONSCIOUSNESS PATTERNS]


意識の深層で、何かが目覚めようとしていた。


人類の意識を、より高次の存在に書き換える。その言葉の意味が、今、明らかになろうとしていた。


如月が父の装置を操作し続ける。突如、スクリーンに文字が浮かび上がる。


《最終記録:彼らは人類の意識進化を目指しているのではない。意識の支配を。既に組織の上層部は》


記録は途切れていた。


鳴海の意識に、新たなノイズが走る。


[UNAUTHORIZED DATA DETECTED]

[FRAME 27/30 COMPROMISED]


純粋な人間の意識が、フレームから崩壊していく。その隙間に、未知の存在が入り込もうとしていた。


「父は、これと戦っていた」


如月の声。


「だから、バックアッププログラムを」


彼女の手が光る。古い端末が起動音を鳴らす。


鳴海の意識が、新たな段階へと突入する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ