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意識が断続的に途切れる。


[CONSCIOUSNESS FRAME ERROR]

[ATTEMPTING TO RESTORE...]


鳴海の脳裏に、5年前の記憶が走馬灯のように流れる。研究所での最終実験。フレーム間に現れた異常なパターン。そして─


「起動シークエンスを確認」


かつて自分が記録した音声が蘇る。


「Crown Override Protocol。人類の意識進化プログラム」


その時の記憶が、欠落していた。


意識同期率:25%


如月の声が遠のく。数字の渦が視界を埋め尽くす。


そのとき、鳴海の古い端末が起動音を鳴らした。


[EMERGENCY PROTOCOL ACTIVATED]

[LOADING BACKUP CONSCIOUSNESS FRAME...]


画面に文字が浮かび上がる。


《Crown Override Protocolの正体は、意識介入プログラム。人類の意識フレームに、未知の存在を強制的に》


自分の書き残したメッセージ。だが後半は欠落していた。


意識同期率:18%


崩壊の縁で、鳴海は気づいた。フレーム間への介入。意識の上書き。すべては、人類を別の何かに書き換えるための─


「バックアップフレームを展開します」


如月の声。彼女は父の遺品から取り出した装置を操作していた。


瞬間、空間にノイズが走る。


数字の渦が歪み、崩れ始める。三上の表情が変わった。


「第一世代の保護プログラム。まさか、啓介があれを」


光が弾ける。


鳴海の意識同期率が急上昇する。


47%

68%

82%


通路の照明が復旧する。人影は消失していた。三上も、姿を消していた。


「父は、準備していた」


如月が装置を見つめる。画面には赤い警告が点滅している。


[CONSCIOUSNESS BACKUP SYSTEM]

[EMERGENCY SHUTDOWN IN 3.2.1...]


装置が機能を停止する。如月が倒れかける鳴海を支えた。


「なぜ、あなたの端末が」


「私は─」


記憶が繋がり始める。自分が記憶を消去した理由。Crown Override Protocolの存在を発見した夜のこと。


「実験を止めようとした。だが、記憶を改ざんされ─」


言葉が途切れる。網膜ディスプレイにメッセージが表示された。


[UNAUTHORIZED ACCESS DETECTED]

[LOCATION: CONSCIOUSNESS FRAME 25/30]


誰かが、彼の意識フレームに侵入を試みていた。

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