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銀座線浅草駅。警察のホログラムテープが地下通路を封鎖していた。


「記者証です」


如月が警備ドローンにIDをかざす。認証音が鳴り、バリアが一時的に開放された。


「どうやって入るつもりです?」鳴海が問う。


如月は無言で古い磁気カードを取り出した。非常口の扉に翳す。ロックが解除される。


「父の遺品」


地下通路に足を踏み入れる。非常灯だけが点滅する薄暗い空間。床には血の痕が続いていた。


「暴走した男は保安要員に射殺された。でも、それより注目すべきは─」


如月の言葉は途切れた。通路の壁一面に、何かが描かれていた。


無数の数字の羅列。


30/30 29/30 28/30...


「フレームカウント」鳴海が呟く。


「被害者の証言です。暴走した男は発狂したように数字を叫びながら、これを書き始めた」


如月がカメラを取り出す。シャッター音が静寂を破る。


「待って」


鳴海は壁に近づいた。数字の隙間に、微かな文字が見える。


「Crown Override Protocol」


その瞬間。


[CONSCIOUSNESS FRAME ALERT]


鳴海の視界が歪んだ。網膜ディスプレイが警告を表示する。


意識同期率:82%


「鳴海さん?」


彼の視界に、異常な波形が浮かび上がる。見覚えのあるパターン。


フレーム29と30の間。人工的に作られた波形。それが、この場所に漂っていた。


「危険です。ここを─」


警告を発する間もなく、地下通路の照明が明滅し始めた。如月のカメラが不規則なノイズを発する。


そして、通路の奥から、足音が聞こえてきた。


規則正しい、機械的な足音。


壁の数字が、かすかに発光を始めた。

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