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第一章<初心者編>第四話現実世界での神藤凛

今回は短いでーす。一応言っておきますが、彼の周りにまともな女性がいるとは思わないほうがいいですよ。

「神藤一閃流 一の型 牡丹」


 一閃、二閃。木刀なのにも関わらず俵が切れているのは道場内では当たり前の光景だった。


「神藤一閃流 二の型 杜若」


一閃、それだけで俵は耐久の限界に達して、粉々に吹き飛び周囲に合風が吹き荒れた。


「う、うわぁぁ」


「ち、ちょっと、風強っ」


「と、当主!!また杜若打ったんですか!?外でやってくださいよ!!」


「ふ。何を言っておる。このくらいの剣圧に耐えられずして何が侍かっ」


「私達は侍じゃないです!」


「でたよ当主の侍ムーブ、あれやると止まらないんだよなぁ」


ふ。此奴らはまだまだだな。全然なっとらん。師範代を見よ。あの堂々たる様を。此奴らなんかより充分立派だぞ。


「当主様、稽古つけてください」


「む、蓮花か。いいぞ、見てやる。打ってみよ」


 蓮花は最近伸び盛りの若い小娘だ。中々見所のある奴で、侍のなんたるかを分かっている奴だ。ふむ、構えはよし。堂にいっている。腕前は相当立つようになっただろう。


「神藤一閃流 三の型 睡蓮」


睡蓮は重心を深く落とし、研ぎ澄まされた静けさと縦に深く深く切り落とす静寂の型。これは大昔に処刑時に首を切り落とす際慈悲を与えるため苦しまないように切り落とす技だったらしくこれを極めた者は斬られたことに気付かないまま命を落とすことになるのだ。


「ふむ。蓮花は睡蓮の型を好んでいるのだったな。中々重く、的確に、素早い一閃だった。戦で使えばまず瞬きをする間も無く斬ることができるだろう。」


「はい!ありがとうございます!!で、あの、師匠、ちょっと耳貸してください」


「む?何々」


 この小娘中々あざといところがあり、たまにちょっと悪戯を仕掛けてくることもあるため侮れん。13歳にして、ここまで剣を極めているのも然り。練儀と呼ばれる師範以上が行う最後の試練を行おうかどうか会議中のスーパーエリートなのだ。


「昨日EMOの配信してましたよね♡」


「む、むむっ???!お、御主何故それをっ!?」


 ってか、こそばゆいわっ。こしょこしょ話しかけてくるな。耳が、耳がぁぁぁあ。


「昨日配信見てましたよ。ふふっ、お姫様だからって…………何いちゃついてるんですか」


「ん???ちょ、御主何やら目が怖いぞ」


「師匠はわたしだけ見てればいいんです。それなのに、何目移りしてんだゴラ」


「……」


こわっ。なんなんだよこの小娘。ヤンデレとかいう次元じゃないぞ??その低いトーンで話すのやめて!怖い!怖いから!!


「師匠言いましたよね。わたしを幸せにしてくれるって。なのになんで、ゲームなんかで会った女なんかとイチャコラして、しかも婚約までしてるんですか?ねぇ!ねぇ!!」


「こ、怖いって蓮花。ちょ、落ち着いて…」


 ダークモードに入った蓮花は止まらない。こわっ。最近の小娘怖すぎな。その木刀をちょんちょんつくのやめて地味に痛いから。


「じゃあ、師匠、ちゃーんと、わたしを幸せにする、責任、とって、く・だ・さ・い・ねっ♡」


「な、なぁ、お前どっちが本当のお前なんだよ」


「やだなぁ、師匠何言ってるんですかぁ?わたしはわたしですよぉ、裏も表もないです。じゃあ、午後3時に王都で会いましょう。入口の方で待ってるんで、師匠を見つけ次第凸しちゃいますから、ねっ?ちゃんと、まってる……逃げたらその時は……わたし怒っちゃうからぁ。ねっ♡」


「…………(やばいこいつはやくなんとかしないと)」


誰だよこいつに剣とか教えたの。あ、はい俺でした。怖すぎる。こんな一面があったなんて………女は怖いって身に染みたわ。


「あ、おにぃまたれんかとイチャイチャしぃてる〜じゅるいーいーでーすー、ひぃもおにぃとイチャイチャしゅるーのー」


「うふふ。ですって師匠私達付き合ってるように見えるんですって。どうします付き合っちゃいますか?」


「お、こ…ぶっぐっ………て、丁重にお受けいたします」


断ろうとしたらエルボーが刺さったよ。まじ痛かったっす。女性に刃向かったら死が待ってるんですね。分かります。女怖すぎる。それに比べて義妹のなんと可愛らしいことよ。まだ6歳だから舌足らずだけど、愛らしい。6歳だから一人だと怖いだのなんだの言ってくるから一緒にお風呂も入っている。あーよしよし、うい奴じゃのう。


「あー、もっとにゃでてほしいの〜」


「よしよし。かわいいでしゅね。」


あ、そういえばまだここには蓮花がいるんだった。くそ、早くどっかいけ。怖いんだよ貴様は。


 なんちゃって縮地術(蓮花はまだ縮地術を使えるまでに至っていない)で距離を詰めて、耳にこしょこしょと話し出す。


「キモ♡そういうのはわたしにやって」


「は、はぁ、そういうのと言われましても……」


「だぁ、かぁ、らぁ、やれって言ってんの。わかる?」


 ダークネスヤンデレ蓮花ちゃんですね。怖いです。とても怖いです。実力で勝手はいてもですね、恐怖には打ち勝てんのですよ。はい。


「はい、よしよーし。いい子いい子」


「あ、気持ちいい。師匠そんなにわたしのこと好きなんですね。言ってくれれば付き合うのに〜」


「いや、別に付き合うとかは…」


「は?何急にマジレスしてんの?きしょ。師匠ははいか、イェスだけ答えてればいいの。わかる?」


「い、いやでもですね」


剣でちくちくするのやめて!!痛い!精神的に痛いんだよ!!


「わかりました。じゃあ、まだ、付き合うとかは無理なんで、侍として、蓮花に忠義を果たすことをここに誓わん」


 英国で騎士が手にキスをして忠義を誓うように彼女のおでこにキスをして神藤一閃流の忠義の誓いを果たした。


「は、はわわ、や、やりゃできるじゃないですかぁ♡わたし、師匠のこともっと好きになっちゃいました。もう、離さないから、ねっ♡」


「むぅー、蓮花ねぇはどっか行って。にぃはわたしのこんやくしゃなの。だから、にぃはわたしのものなの!!」


「ふふふ。柊は子供ね。そんなんじゃ師匠に嫌われるわよ。ね、わたしの方が好きですもんね♡」


「むぅ、わたしのほうがにぃにあいされてるもん。にぃをいじめるわりゅいこな蓮花はにぃきらいだもん」


「そうだぞー大人気ないぞーぐへっ」


 だからエルボーはやめろとあれほど………つか、エルボーした後に俺の息子を蹴りおったなこいつ。まぁ、少林寺拳法を習ってるから痛くないけどね。


「あぁ、そうだ。そろそろ蓮花に教えておかないとな。」


「え?師匠何を教えてくれるんです♡?」


「ほんまきゃぴきゃぴしてるなぁ。アイドルでも目指してるのか貴様」


「えーアイドルみたいにかわいいですって?褒めすぎですよー♡」


 こいつがこうなのはもう無視することにした。疲れる上に選択肢間違えたら攻撃食らうからな。え?反撃しないのかって?武士はな女に手を出したら終わりなんだよ。


「はぁ、まぁ、いい。今回教えるのは俺が編み出した合戦作法。その神藤一閃流 三の型 睡蓮をベースとした静寂の型だ。この型は他の合戦作法とは一味違う。使うものによっては最強にもなりうる作法だ。一通り教えるから見て覚えろ。看取り稽古だ。」


「先ずは、合戦作法 静海の型 壱の太刀 うねり渦」


静かな海。そこに湧き出るうねり渦。それはぐるぐるぐるぐると、静かに、そして、大きく場を鎮めるために波紋を広げていく。やがて治まる頃には戦場の全てが骸に成り代わるのだ。


「うわぁぁぁぁあ、何してるんですか当主!!」


「お前たちもチンタラやってないでみろ。そして盗んでみろ。俺の、俺が作り出した、合戦作法を!!」


「は、はい…」


 やっと黙ったか。本当に騒がしい奴もいたもんだ。


「す、すごいね。師匠が剣を持ったら誰も立って無いと思う。でーもー。普段の師匠は女に弱くてダメダメなんですよね♡」


「だから、耳元でこしょこしょ話すののやめい!ざわざわして落ち着かんのじゃよ」


「照れちゃって可愛い♡」


「にぃと蓮花ちゃんいちゃつかないで〜にぃはわたしのなの〜」


「あぁ、もう!次行くぞ。次!!合戦作法 静海の型 武の太刀 波紋」


今度の型は多数対の時に足場を崩す時に使う合戦作法。本当なら闘気を纏う仙術が必要になるのだが並外れた筋力が有ればひとまずは解決する。蓮花にはそれがあるため大丈夫だ。何故かって?この道場はジムとしても運用されているからさ。さて、この型は海に広がる水紋のように地面に一つ刀を突き刺し波紋のように震動を起こすまさしく足場崩しの技。


「おおー、ぐらぐらー」


「ぐらつきますね師匠♡ふらついちゃって抱きついちゃましたぁ」


 う、うぜぇ。次だ次!


「合戦作法 静海の型 参の型 大波」


大軍を一瞬で薙ぎ払う静寂に響く大波の型。大海の大波を見立て豪快に一閃する静海の型の大技の一つ。


「おおー、すごいすごーい。おにぃ、わたしもそれやってみたいなぁ」


「ひぃちゃんはもうちょっと大きくなってからな。どうだ?蓮花できそうか?」


「んー、師匠が手取り足取り教えてくれたら覚えられる、かも♡」


「はぁ。そうだな、じゃ、まずは壱の太刀の足運びは、こうして、こう、で、手は思いっきり振り回す。できるか?………何をぼーっとしている」


「………はひ?な、な、なんでもないです。なんでもないですからぁ!こっち見ないで!」


「ん??」


「にぃはてぐせがわるしゅぎるのにゃー」


 猫のモノマネか?正直可愛い……って、そんなこと考えてる場合じゃない。蓮花は大丈夫なのか?


「ひぃ、ひぃ……ふぅ……っく、ら、らいじょうぶれふ……」


「顔が赤いが?」


「師匠のせいです!!ばか!」


「じゃあ次は武の型いくぞ。足は、こうしてこう、手はこうして、重心は深く落ち着いてだ。分かったな。次は参の型。足はこう、手はこうしてこうで薙ぎ払う。分かったか。ん?おーい聞いてるのか?」


「ふにゃぁ…………もうだめれす…」


「あぁーあ。にぃのてぐせのわりゅさがでたぁー。女の子なかせちゃだめなんだからねー」


「泣いてないと思うが?」


「師匠は変態です!もうお嫁に行けないので責任とって貰いますからねっ!!」


むきーと擬音語が出るほどに怒っている蓮花。正直可愛いだけなんだが。責任って何??


「じゃ、午後3時、王都で待ってますからちゃんと来てくださいね、師匠♡」


 俺の周りは何故こうもデンジャラスな女しかいないのだろうか……将来が心配です。


え?まともじゃんって?いやいや、見てればわかりますよ(遠い目)

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