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応援

「ユキナ、バイトに行ってくるから留守番頼んだ」

俺は両手を合わせて頭を下げる


「はーい」

また駄々をこねるのではないかと言う不安もあったが

この前の焼肉効果があるのか、ここ最近は素直に聞いてくれた

いつもこうだと助かる


「今日はついにピザの調理を教えてもらうんだ」

「おーーすごいじゃん!がんばってねー」


ユキナはなるほどと言う顔をした後、両手を握りしめて応援してくれた


「ピザ、上手にできるといいね」


ユキナは屈託のない笑顔で見送ってくれた





「よし、今日は調理を教えるよ」

仕事の合間、ゆうこさんは気合の入った顔でピザの調理を教えてくれた


「まずは生地を作るよ」


大きめのボウルの中に薄力粉、強力粉、ドライイースト、塩をこね合わせた


「生地は時間が経つと乾いていくから、早くこねるんだよ」


俺もゆうこさんのやり方を真似しながらコネコネと生地を丸めていく


「そしてこれを打ちつける」


丸めた生地をボウルに何度も打ちつけたあと


「最後にラップをかけて完成、簡単だろう?」


俺も見様見真似でやってみる。ゆうこさんの生地よりも少し乾燥してしまった

「最初はそんなものさ、はっはっは」

ゆうこさんは笑っていた


「最後に生地を伸ばしてピザソース、チーズを乗せたら・・・後は焼くだけよ」

作ったピザを窯に入れてて焼き始めると、ピザのいい香りが漂い始めた


「はいよ完成っと」

ゆうこさんは金属の長いヘラを器用に使い取り出した


「これが俺のピザ」

なんか感動だ


「試食の時間だよ」

さっそく、俺とゆうこさんは焼けたピザを試食し始めた


「悪くないねぇ」

はっはっはと笑いながら


「いきなり全部やれとは言わないさ、今日やったことを少しづつ覚えるんだよ」

「はい」


全く、ゆうこさんには頭が上がらない

少しづつだが自分も成長を感じられた。


「今日は自分の作ったピザ持って帰りな」


ゆうこさんの厚意から余ったピザは持ち帰らせてくれた

ユキナにも食べさせてあげよう



俺は足早に帰宅した

「ユキナ、お土産がある」

「お土産!もしかして焼肉?」

「焼肉はこの前食べたろ、どうだ俺が焼いたピザだ!」

箱を開けてユキナにピザを見せつける


「おおおおお」

ユキナはパチパチと手を叩いた

早速俺たちはそのままピザを食べ始めた


「なかなか美味しいよー」

とユキナは評価してくれた

裕子さんには及ばないがm俺のピザはまずまずの味のようだ


少しづつだが俺も成長してきている

また明日も頑張ろうと思えた



ーーーーーーーーーーーー


気づいたら私はこの部屋に居た

足はなく浮遊する体

私は過去の記憶は無く、幽霊ということと自身の名前ユキナとだけ覚えていた

何度も死にたい、辛い、なんで私だけこんな目と思った

生前私は大きな過ちを犯して、その報いを受けているとでもいうのだろうか

でも私は死ぬ事はできない

私において死と言う概念は既になくなっているのだ

幽霊に置いての消滅それは成仏し現世から離れること

どうすれば成仏できるのか

もし成仏したら私という存在はどうなってしまうのだろう

考えてもどうすれば良いのかわからず、ただ泣いてうずくまることしかできなかった

正気を保つために大丈夫なんとかなると自分に言い聞かせ続け

ポジティブに物事を考える様にした

悠久に思える時間が過ぎていく、ある日部屋の扉が開かれた

それが彼と最初の出会いだった

彼の目は自分の未来に絶望していた。

私と同じ目をしている

でも彼には未来があって

私には未来は既に終わりを迎えている。未来に抗う権利すらないのだ

彼が羨ましいと思った


彼は現状を変えるために毎日努力していた。

そんな頑張っている彼を見ていると私も頑張ろうと力をもらえた

彼を応援したいと思った

私は彼が帰ってくるたびに声をかけるようにした

いつか気づいてくれると信じて

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