2.朝、皇女との問答。
深夜に書いてるので、誤字あったらごめんなさい_(:3 」∠)_
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――そんなこんなで、レクリエーション当日。
俺は学院指定の服に袖を通し、集合場所へとやってきた。時を同じくして、皇女も正規の護衛と一緒になって学院に到着したらしい。彼女はその護衛たちに下がるように命じてから、ちらりと俺の方を見た。一番乗りだったらしく、周囲には俺たち以外に人気はない。
視線がぶつかった。あるいは、睨まれているのだろうか。
理由も分からずに突っ立っていると、アメリア皇女は――。
「噂とは、違うのですね」
「噂、ってなんだよ」
「…………」
そんな、よく分からないことを言う。
いったいどんな噂を耳にしたのか、それは分からない。身に覚えがないこともないが、しかしそれを突かれると色々と面倒だ。だから誤魔化すよう淡泊に言い返すと、彼女はしばし考えてこう返してくる。
「リオスさん、成績『は』優秀なのでしょう?」
「ずいぶんと言い方に棘があるな」
「事実ですから」
「…………」
思わず言い返すと、アメリア皇女はシレっと悪びれる様子もなく言った。
この皇女、意外と肝が据わっているらしい。そう感心していると、次に飛んできたのはこんな問いかけだった。
「どうして、その能力を国のためにと思わないのですか?」――と。
なんともそれは、為政者として大正解な疑問だった。
高い能力があるとされるなら、どうして人のために使わないのか。それをアメリア皇女が気付かずに口にすることも皮肉めいていたが、俺にとってはそれ以上におかしい部分があった。だから思わず、冷淡な口調でこう告げる。
「だったら、お前はできるのかよ」
「え……?」
「すべての人間を幸福にするようなことが、さ」
「………………っ!」
さすがに、世間知らずの皇女様でも凄みは伝わったらしい。
あからさまに息を呑んだ少女を見つめながら、俺はふっと息をついた。どうやら他の生徒が集まってきたらしい。この場はとりあえず、切り上げることとしよう。
ただその前に俺は一言、彼女に忠告することにした。
「高い理想を持つことは、大切だ。でもな――」
すれ違った瞬間。
彼女にしか聞こえない声の大きさで。
「自分にできないことを他人に要求するのは、卑怯者のやることだ」――と。
◆
リオスの言葉を聞いたアメリアは、しばしその場を動けなかった。
なにか鋭利なもので胸を抉られたような感覚が、少女の中に残っていたからだ。周囲の学生たちは何事かと、遠くにいるリオスと彼女を交互に見ている。
その中でアメリアに声をかけたのは、小柄な女子生徒だった。
「アメリアさまー? どうされたのですー?」
「え、あぁ……なんでも、ないですよ」
「そうなのですかー?」
どこか間の抜けた声で語る相手に、ようやく皇女の表情も柔らかくなる。
そして一度リオスを見てから、アメリアは気持ちを切り替えたように笑うのだ。
「さあ、行きましょうか。レーラ」
「はいなのです!」
女子生徒――レーラにそう告げて、皇女は歩き始める。
ただ、その足取りはいつもよりぎこちなく思われるのだった。
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