1.新入生レクリエーション。
(*‘ω‘ *)はーい、みんな二人組作ってー!
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魔法学院の一年生は、必ず新入生レクリエーションに参加しなければならない。この行事の最も大きな目的は親睦を深めることであり、互いの顔を覚えるなど、今後の学院生活における基礎を何とかかんとか。正直に言ってしまえば、俺にとって一番縁遠い行事だった。
当然ながら、一度目の一年生の時も欠席している。
しかし今回に限っては、アメリア皇女の護衛、という枷があった。
「心の底から面倒くせぇ……」
皇帝陛下の依頼でもなければ、マジでサボっている。
そう考えながら俺は、二回目にして初めて行事説明の紙に目を通していた。なにやら、新入生全員で休日の学院に泊まる、とかいう謎イベントとのこと。紙切れには一日のスケジュールが事細かに書かれており、就寝時間までキッチリ決められていた。
なんだ、これ……。
マジで何の利益になるのか分からない。
そんな感じで、俺はあまりに気が向かずに窓の外を眺めていた。
「そこの落第生、聞いているのか?」
「…………聞いてまーす……」
すると、担任女性教師のアリスが声を飛ばしてくる。
今年からの新人らしい彼女は、キラキラした青の眼差しで生徒たちに説明をしていた。黒髪を後ろで一つに束ねており、戦闘において非常に動きやすそうだな、とか関係ないことを考える俺。それほどまでに、いまの時間は無駄にしか思えなかった。
「それでは次に、班分けを行いたいと思う。各々まずは二人組を作ってくれ」
などと、心を中空に投げていると。
アリスはふと、そんなことを言うのだった。
「二人組、ってなんだ……?」
いや、言葉の意味は分かるのだが。
俺には彼女の意図するところが、まるで分からなかった。
だがしかし、そうこうしている間に生徒たちは好き勝手に二人組を作っていく。俺は完全に出遅れ、かつクラスの人数が奇数だったために余ってしまった。
「ね、ねぇ……誰か入れてあげようよ」
「えー、やだよ。アンタのとこに入れなよ」
「私のとこはもう班ができてるもん!」
…………なんだこの状況。
窓際最後尾に座る俺を遠巻きに見ながら、クラスメイトが口々に何かを言っていた。聞こえてはいるが、彼らが何に困惑しているのかが理解できない。
だが、そうしていると真っ先に動いたのはアリスだった。
「よし、落第生。お前はアタシと一緒に行動するぞ!」
「はぁ……?」
なにやら、憐みの眼差しを向けながら。
相も変わらず意味は分からないが、とりあえず問題は解決したらしい。それならそれで俺としては楽で良いのだが、どこか釈然としない気持ちが湧くのは何故だろうか。
しかし、その正体を確かめるよりも先に話は前に進んでしまった。
「まぁ、いいか……」
とりあえず、俺は皇女の護衛を達成できればそれで良いのだ。
そう思って一つ、また大欠伸をするのだった……。
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