3.リオス・アークライトという賢者。
ここまでがオープニングです(*‘ω‘ *)
応援よろしく!
「あの、アメリア様……大丈夫でしたか?」
「え……?」
アメリアが教室に戻ると、他の学生たちが彼女に声をかけた。
意味が分からずに皇女が首を傾げると、その中の一人、ごく普通な容姿の男子生徒が言う。
「あのリオス、って落第生のことですよ。彼について調べたんですけど、あまり良い噂が聞こえてこなくって……」
「というか、むしろ悪評ばかりですよ!」
「悪評、ですか?」
続いて他の生徒も口を揃えて頷いた。
どういうこと、だろうか。やはり話の全貌が見えないアメリアは首を傾げ、そんな様子を見た一人が説明を始めた。
「あのリオスって落第生、成績は良いけれども素行が悪いそうです。先生方の授業内容に文句を言うし、行事は必ず欠席するし、それに――」
「噂だと、どこかの変な組織に入っている、って話もありました」
「貧困街にも頻繁に出入りしているそうですし、不潔ですよ!」
「………………」
すると、次から次にきな臭い話が出てくる。
皇女はそれらを聞いて、しばし考え込むのだった。
もしかしたら、自分の心配は杞憂だったのではないか、と。
「とにもかくにも、あの人とはかかわらない方が良いです!」
「……え、えぇ。そうですね」
そして、クラスメイトの言葉に頷いた。
しかしどこか、喉に魚の小骨が刺さったような違和感が残るのだ。
「本当に、違うの……?」
結局、答えは分からない。
だが彼のことは、これからも注視していこう。
そう思って、アメリアはクラスメイトの輪の中に溶けていくのだった。
◆
――黒装束の男たちは『死』を目にしていた。
もちろんそれは『概念』である。
しかしいま自分たちの目の前にいる相手は、それとしか呼びようがなかった。自分たちとは明らかに一線を画す実力を保持し、その一部も発揮していない。
言うまでもないが、皇女暗殺の任を請けた以上、男たちも相当の手練れだ。
「……どうした。もう、こないのか?」
「ひっ……!」
――だが、違うのだ。
なにが違うのか。暗殺技術や魔法理論、その他にも体術などは同じ系統のものを扱っているのだろう。それでも、どう足掻いても敵わないと理解させられた。
それはつまり、この落第生は『次元』が違うのだ。
自分たちよりも数段上の領域で、何もかもを会得している。だから、
「だったら、そろそろ終わりにするか」
「あ、あぁ……!」
何をされたのか、認識する暇すらない。
ただ分かったのは落第生の姿が掻き消えて、意識が途切れたことだけだった。
◆
「……ったく。中途半端な能力で、皇女暗殺依頼なんて請けるな、っての」
俺は気絶した男たちを見下ろして、そう漏らした。
そして彼らの懐にある緋色の紋章を確認し、ため息をつく。この紋章には、思い当たる節があった。暗殺者集団の中でも、最上位と呼ばれる団体のものだ。
そうなってくると、皇女の暗殺依頼を出したのは、それ相応の金払いができる相手となる。そこまで考えてから、俺は大きく欠伸を一つ。
「まぁ、念のため気には留めておくか」
もちろん、護衛依頼はしっかりこなすつもりだ。
それでもこの程度の相手なら、いまのところは大丈夫だろう。
「ただ、問題は暗殺者よりも――」
――その依頼人、といったところか。
とは言っても、いまはどうしようもない。
そう考えてから、俺は時間を確認。
そして――。
「……次の授業、サボるか」
どこか日当たりのいい場所で、惰眠を貪ることに決めたのだった。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!