2.特別扱いしないで。
(*‘ω‘ *)書いたら出す!!
「……それで、アメリア様は俺に何の用ですか?」
「『様』なんて付けないでください。貴方が、私の護衛なのでしょう?」
――昼休み、校舎裏にて。
俺とアメリア皇女は、二人きりで話をしていた。
他の生徒たちからは何事かと不審がられたが、どうやらアメリアは勘付いていたらしい。その証拠に一言目で、俺が彼女の護衛であることを言い当てた。
だが、こちらとしてはそれを認めるわけにはいかない。
「なんのことですか。俺はただの落第生、ですよ」
「落第したからといって、学年まで下がるなんて聞いたことがありません」
「いや、それだけダメダメな成績なんですよ」
「………………」
自分で言っていて悲しくなってきたが、嘘だと割り切った。
こちらが白を切ると、皇女は納得いかないという表情で睨んでくる。どうやら平穏無事な学院生活を送りたい彼女にとって、俺は邪魔者でしかないのだろう。
そう考えれば、この敵意も納得だった。
「……本当に、違うのですか?」
「はい、違いますよ」
だから、これといって不快にも思わない。
俺はさらっと流しながら、時が過ぎるのを待った。すると、
「そう、ですか……」
ようやく諦めたらしい。
皇女は小さく言うと、一つ深呼吸をした。
そして、改めて意を決したようにこう言うのだ。
「分かりました。それでしたら、いまは貴方を信じましょう」
「ありがとうございます。皇女殿下」
「その代わり、お願いがあります」
「……お願い?」
俺が訊き返すと、彼女はどこか悲しげにこう口にする。
「本当に、特別扱いはやめてください。……貴方も、気持ちはわかるでしょう?」
そうして、皇女はその場を後にするのだった。
俺はその小さな背中を見送って、一つ気怠いため息をつく。
「特別扱い、ね。……だそうですよ、皆様方?」
そして、周囲の気配に対してそう告げるのだった。
「落第生と聞いていたが、なかなかどうして勘が鋭い」
「我々の気配に気付きながら、表情一つ変えないとは」
「その胆力、この学院で腐らせるにはもったいないな」
すると黒装束に身を包んだ三人の男が、俺のことを取り囲む。
いま一人で行動している皇女を狙わない様子を見るに、こちらを先に排除するべきと判断したようだった。それは間違いではない。
「まずは貴様から排除させてもらうぞ、落第生」
「そっちがその気なら、俺も容赦しないから覚悟しろよ?」
しかし、同時に不可能でもあった。
何故なら――。
「訳も分からないまま、死にたくなかったらな……!!」
――俺がこのような相手に、負けるわけがないのだから。
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