プロローグ 主席の賢者、落第する。
新作です。
「リオス・アークライト。貴様には再度、魔法学院で一年生からやり直してもらう」
「…………は?」
皇立魔法学院の卒業を間近に控えて。
俺は皇帝陛下――アンドレギウスから呼び出しを受け、彼のもとへと赴いた。そして開口一番、告げられたのは今のような一言。相手が皇帝であるということを一瞬忘れ、思わず間の抜けた声を発してしまった。
そして、しばしの沈黙。
陛下と俺だけの私室には、どこか重苦しい空気が流れていた。
「陛下、理由をお聞かせ願えますか?」
その中で、俺はどうにかして声を絞り出す。
すると皇帝陛下は、威厳のある口調でこのように告げるのだった。
「リオンよ、貴様は皇立魔法学院史上最高の成績だそうだな」
「えぇ、それはそうですが……」
「だからこそ、一年生に落第してもらう」
「なんで!?」
脈絡がない、というか、逆転すらしている。
そう感じて思わず、食って掛かるようにツッコミを入れてしまった。しかし皇帝アンドレギウスは動じた様子なく、至って冷静にこう続ける。
「その能力を見込むからこそ、落第してもらいたいのだ。……頼む」
「いや、話が見えないのですけど……?」
いよいよ頭を下げられ、俺は困惑する。
すると皇帝陛下は、そこでやっと落第の理由を口にするのだった。
◆
「えー、今日からキミたちに新しい友達を紹介する」
「………………」
数日後、俺は真新しい学生服に袖を通す一年生の教室にいた。
「彼の名前はリオス・アークライト。先生も詳しくは知らないが、何故か最上級学年から下がってきた先輩だ。仲良くしてやってほしい」
「………………」
年下ばかりのクラスメイト、その視線が俺に刺さる。
中にはこちらを馬鹿にするように、小さく笑っている生徒もいた。俺はそれに対して口角を引きつらせつつ、しかし屈辱感を必死に堪えて頭を下げる。
「……リ、リオス・アークライトだ。よろしく頼む」
本当に、どうしてこうなった。
そう思いながら……。
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