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第29話 スキルレベルアップ

 森から少し離れた見晴らしの良い場所にある巨木の陰。この場所にミウ達を配置させる。ここからなら森の上を飛ぶ飛竜ワイバーンを遠距離攻撃で狙えるはずだ。


「じゃあミウ、ララ、頼んだぞ」


「はい、任せて下さい」

「くくっ、我の魔法で一撃よ」


 俺が声をかけると、ミウとララが応える。特にララはドヤ顔だ。普段はこんななのに、実際戦闘になるとあたふたしてしまうのだ。

 だが、ここなら離れているから大丈夫だろう。


「ミウ、これなら俺に攻撃を当てる心配がないから思いっ切り行け」


「は、はい」


 ミウが緊張した面持ちで戦棍メイスを握る。


「ララ、得意の魔法をぶちかましてやれ」


「おうっ、遂に我の実力を見せる時がきたようだな」


 ララは大げさな身振りでポーズをキメる。まあ、七星神魔法担当の実力を見せてもらおう。


 そして、二人の後ろで震えているミーニャにも声をかけた。


「ミーニャ、ここで待っててくれ」


「は、はいです……ここなら食べられないです」


 飛竜ワイバーンって人を食べるのか? ミーニャの反応から、ネコっぽい獣人族は狙われやすいのかもな。



「じゃあ、行ってくる。行こうライデン」

「ああ、行こう。前衛は私達に任せておけ」


 俺はライデンを連れて森へと入った。


 ◆ ◇ ◆




 うっそうと茂る森の中は、木々に太陽が遮られ薄暗くなっていた。ライデンと二人で歩いているのは不思議な感覚だ。


 ライデン……もう俺を襲う素振りは見せないようだな……。根は真面目な人みたいだけど。 まあ、俺に逆らって急に催淫されても困るのだが。


「ん、どうした?」


 俺の視線に気付いたのか、ライデンが話しかけてきた。


「いや、不思議なものだと思って。最初は敵だったのに、今では一緒にパーティーを組んでいるなんてな」


「もう敵ではないと分かったのだ。無駄に争い合うこともなかろう」


「それは良かった」


 こんな強い女とは敵対したくないしな。仲間になってくれて良かったぜ。


「だが、淫紋の件では怒っておるぞ。もう少し他にやり様はなかったのか」


「いや、いきなり問答無用で俺を真っ二つにする女に、やり様なんて他にないだろ」


「ぐっ……それは済まないと思っている」


 ライデンが墓穴を掘ったようだ。


「そういえば、ライデンって元の世界では何をやってたんだ?」


 俺は話題を変えた。


「私か? 私はOLだが」

「はああああああああ!?」

「おい、何だその反応は」


 俺の反応にライデンが少しムキになった。


「いや、ライデンの見た目や性格からして、道場破りとか総合格闘技選手かと思ってたよ」


「おいっ、私を何だと思ってる! まあ、剣道と空手は段位を持っているのだが」


 なるほど、元から武術の経験者だったのか。それで、この世界で最強のアバターを手に入れたことで、より剣術や武術のテクニックを発揮できたのだな。


「俺は大学生だから先輩になるのか?」


「うむ、24歳だから私が年上だ。私のことは『姉さん』と呼んでくれてもいいぞ」


 生真面目そうなライデンにしては、冗談っぽい口調で笑う。


「ライデンちゃんで良いや」

「ちゃんはヤメロっ!」

「その反応が見たかった」

「ぐぬぬぬっ……」


 ザッ!

 俺の探索スキルに強力なモンスターの反応を感知し立ち止まる。意外に森の入り口から近かった。


飛竜ワイバーンだ!」

「ああ、前回のより大型だ」


 すぐにライデンは走り出した。俺も後を追うが、身体能力に優れた武闘系ジョブのライデンには敵わない。


 速いっ! さすが超越者だ。身体能力もスピードも桁違いだ。

 俺の暗黒皇帝は、自己修復機能付き不死身の肉体と多彩なスキルを持つようだ。だが、ライデンの超越者はスキルこそ少ないようだが、圧倒的な体力とスピードに秀でているようだな。


 キィィーン! ガシッ!


 俺が到着した時には、すでにライデンが戦闘開始していた。俺の考えを理解してくれているのか、一撃で屠ることなく飛竜ワイバーンを上空に飛翔させた。


「よし、森の上空に出た。これなら……」


 そう思った矢先、俺達の上空に凄まじい轟音と共に魔法による連続攻撃の光りが通過した。


 ドドドドドドーン! ズババババババババ! ビィィィィィィィィーッ! ビカァァァァァァ!


重爆発ヘヴィバースト

龍雷撃ドラゴンライトニング

神聖光線ホーリーレイ

神聖雷光ホーリーライトニング


 ズガガァァァァァァーン!!


 何となく思いつく魔法を想像していると、上空で爆発が起こる。同時に前回と同じように魔石のようなアイテムが手に入った。飛竜ワイバーン退治は完了したようだ。


 ――――――――




 俺達が戻ると、ミウとララが胸を張って待ち構えているところだった。特にミウの巨乳が突き出て目のやり場に困る。


「どうだジェイドよ! 我の華麗な魔法を見たか」

「わ、私もやりました。飛竜ワイバーンのような強いモンスターを倒せましたよ」


 二人同時に俺にグイグイ迫る。何だかキスされそうに顔が近くてドキドキものだ。


「お、おう、よくやったな。これで初心者は卒業だろ。もう一人前だ」


「そうだろそうだろ。ま、まあ、我はゲーマーであるからな。このくらいチョロいものだ」

「そうですよね。私も何だか自信が持てました。チョロいですよね」


「おう、よしよし、偉い偉い」


 なでなでなでなで――


 チョロいのはおまえらだろとか言いそうになるのを堪え、二人の頭をナデナデする。


 二人が自信を持てたのは大成功だが、何だか暴走しそうで心配にもなる。もう、子供を持つ親の気持ちみたいだ。



「では次のクエストに向かうぞ」


 少し薄暗くなってきたが、最後のクエストに向かう。ライデンの声に、自信を付けたミウとララも一緒に盛り上がっている。



「おい、いつもそんな乗り方なのか? ハレンチだな」

「は、ハレンチじゃありませんっ!」


 ライデンにツッコまれ、ミウが反論する。


 最後のクエストに向かうために【飛行フライ】を使おうとするが、やはりミウが俺の前から抱きつく。どうみてもハレンチだ。

 前にミウ、背中にミーニャを乗せ飛行した。


 ララが俺に乗りたがったが、飛行スキルを使えるのは俺とララなので、もちろん却下だ。ララの背中にはライデンを乗せ飛ぶことになった。


「な、何でまたお前なんだぁ~っ。ジェイドと交代しろっ!」


 

 そして、どうなったかというと――――


 ◆ ◇ ◆




 ズガァァァァァァーン! ドドドドドーン! バリバリバリバリバリッ! ビィィィィィィーッ! ドッカァァァァーン!


 大量のワイバーンが住み着くガルム山脈に爆音が鳴り響く。前回のクエスト成功で調子に乗ったミウとララが上空を飛ぶ飛竜ワイバーン目掛けて魔法を撃ちまくっているのだ。


 ――――――――――――

 レベル30になりました。


 スキルポイントが一定になり、魔術レベルが2になりました。


 スキル

 【二重魔法ツインマジック】【睡眠スリープ】入手!


 アイテム

 【飛竜の鱗】【竜玉赤】入手!

 ――――――――――――


 スキルレベルが上がり、更にアビリティや攻撃力が強化されたようだ。


 レベル31になりました。

 レベル32になりました。


 どんどんレベルが上がる。俺は、とんでもないパーティーメンバーを育ててしまったのかもしれない。


「おい、おいつらって破壊神じゃないだろうな?」

 ライデンまで驚いている。


「いや、ライデンちゃんも似たようなもんだろ」

「ちゃんとか言うなぁ!」


 ドドドドドドーン!


「ふにゃぁぁ~っ!」


 ミーニャが俺の胸の中で叫んでいる。結論、ミウとララは飛竜ワイバーンより怖かった。ミーニャとしては、とんでもないパーティーに入ってしまったと思っているのかもしれない。


 その日、ウルズ近郊の飛竜ワイバーンは、駆け出し冒険者のパーティーにより全滅したという噂が駆け巡った。



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