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第25話 魔族領域侵攻作戦

「はぁぁ~ん♡ くぅ、こ、ころせぇ~っ♡」


 ライデンが再びくっころ(・・・・)発言をする。ただ、最初の時と違うのは、凛々しく気高い女騎士のような声ではなく、ちょっとアヘっているピンク色っぽい声だ。


「いや、だから俺達と敵対しなければ何もしないって言ってるのに」


「「「ジィィィィーッ」」」


 俺が何かしようとすると、ミウたちがジト目で俺を見つめるのでやりにくい。しかし、俺はライデンから聞きたいことがあるのだ。


「おい、ライデン。おまえに聞きたいことがあるんだ」


「ふんっ、私は何をされても口を割らんぞっ!」


「まあ、良いさ。ところで、ジャスティスと知り合いのようだが、あいつとはどんな関係だ?」


「私が言うと思うか!」

「催淫」


 きゅぅ~ん

「はうぅ~っ♡ い、言うわけ……はああああぁ~ん♡」


 俺に背くと強制催淫なのだ。あの気丈なライデンがこんなになっているのだから、かなり強力な催淫効果があるのだろう。


「ううっ、い、言う……言うから止めてくれ……たのむぅ、おほぉ♡」


 ◆ ◇ ◆




 何度か催淫させながらライデンから情報を聞き出す。本当に催淫がキツいのか、意外と色々喋ってくれた。


「なるほど、この世界に来てすぐに知り合って、正義の心で意気投合したと……」


「うむ、正義の心は大切だ。私達は、一緒にレベル上げをした。私の雷切と、ヤツのエクスカリバーは最強の組み合わせだ。その辺のモンスターなら瞬殺可能で、始めたばかりの初日でレベルもかなり上がったな」


 ライデンが一人で納得している。確かに脳筋が二人集まればレベル上げも早そうだ。


「つまり、アホで単純な二人は正義マンになって暴走したと」


「おい、聞こえてるぞ!」


 ライデンが文句を言うが放っておく。


「今は一緒じゃないのか?」


「ヤツとはたもとを分かったのだ。一時別行動した後に再開した時は、暗黒皇帝を仕留めそこなったと言っていたな」


 俺と戦った後か……。


「それからヤツは、より激しくなった。暗黒皇帝は魔族を率いてこの国アースガルズを亡ぼすのだと。その前に国を挙げて魔族領へと侵攻するべきだと言い出したのだ。王都グラズヘイムに行って王侯貴族を動かすのだと言っていたな」


「王都グラズヘイム……話が大きくなってきたな。つまり、ジャスティスは戦争を起こそうとしているのか?」


「人族を脅かす魔物を倒すのには賛成なのだが、ヤツは無関係の民まで害するようになってしまってな。正義のための犠牲なら仕方がないと」


 ジャスティス……あいつらしいな。少ししか話をしなかったが、あの下品な笑顔とムカつく態度。とても正義の味方とは思えない。自身の思い込みで他者を踏みにじるような男に見えた。そう、まるで間違った信念で民を害する独裁者のような。


「私は、弱き者、心優しき者の剣でありたいのだ。決して自身の理想のために罪のない民を害するようなのとは違うっ!」


「ライデン、おまえ良いヤツだな。見直したぜ。『弱き者、心優しき者の剣』それ、カッコいいな。俺も使いたいぜ」


「こらっ、何で貴様が使うんだ。ダメだダメだ!」


 話をしている内に、少し会話が成立するようになっていた。どっちも直情的な正義マンかと思っていたが、ライデンは少しマシなようだ。


「おい、ライデン。おまえの話でおかしい点がいくつかある。先ず、何で俺が魔族を率いる暗黒皇帝なんだよ。誰がそれを決めたんだ? ジャスティスが勝手に言ってるだけだろ?」


「そ、それは……確かに証拠がない……」

 ライデンは言葉を詰まらせた。


「それに、魔族がアースガルズに攻め込むというもの分からない。それ、どこ情報だ?」


「うっ…………」


「むしろ、怪しいのはジャスティスの方じゃないのか? あの単純バカは、何者かにそそのかされて戦争をするように仕向けられているとか」


「ななっ! そ、それは……だがしかし……」


 俺の言葉にライデンが考え込んでしまう。これまでジャスティスの話を真に受けて感情で突っ走っていたようだが、少し立ち止まって考えてみるのも必要だろう。


「とにかく、俺とミウとララは、おまえやジャスティスと同じ転生者なんだ。同じ世界から来た人間だ。魔族とか戦争とか、何も知らないのだが」


「わ、私は、このゲーム世界に入ってしまい、始めて会った元の世界の人であるジャスティスに会って……。暗黒皇帝が魔族を使って人々を滅ぼそうとしていると聞いたから……」


「それだ! おまえは、この世界で初めて会ったジャスティスに、正義感をくすぐられる甘言かんげんろうされているだけだ」


 俺はズバリとライデンの痛いところを突いてやった。


「そ、それは…………」


「おまえは大きな間違いをしている。正義感で人のために動くの良いことかもしれない。しかし、罪のない人を冤罪えんざいで陥れるのは、正義ではなく悪だろ!」


 ガァァァァァァーン!

「わ、私が……悪だと……」


 俺の言葉で大ショックを受けるライデン。正義感の強い彼女には大ダメージだろう。


「ああ~ぁ、元の世界でも冤罪事件が大問題になってたよな。無実の人に刑罰を与えてしまったら重大な問題に。はああ~っ、これはやっちゃいましたね、ライデンさんよぉ。弱き者、心優しき者の剣が泣いているぜぇ~っ」


「ああああああああっ! 私はなんてことを。も、申し訳なかったあぁぁぁぁーっ!」


 俺の大げさな芝居がかったセリフで誘導されてしまうライデン。きっと単純な性格なので、ジャスティスにも同じように煽られてしまったのだろう。


 ちょっと俺が悪役みたいなセリフになっているが、とにかくライデンをこちら側に引き込みたい。単純で脳筋みたいだけど、戦力はかなりのものだからな。


「やっと誤解が解けたか」

「ああ、すまなかった」

「じゃあ、俺達に協力してくれるよな?」

「だが断るっ!」

「はああああ?」


 途中まで仲間になりそうな流れだったのに、最後で断られてしまった。


「何で?」


「確かに、事実確認もしないで攻撃してしまったのは私のミスだ。気が済むまで謝ろう」


「なら……」


「しかし、私をエッチ奴隷にした貴様は許さん!


「そっちか!」

 マズい、奴隷契約が裏目に。でも、そうでもしないと話を聞かなかったし……。


「わ、わ、私は、この歳まで純潔を守ってだな……ごにょごにょ」


「は?」


 ライデンの話が変な方向に行く。


「私は……私が認める強く誇り高い男に、この純潔を捧げると心に誓っていたのだ。な、なのに…………こんな淫紋があったら、『あぁん、この淫乱女が! 元カレと淫紋プレイでスケベしまくったのかよ。このビ〇チがっ!』とか言われちゃうじゃないかぁ~っ!」


 がくっ!

 まさかの乙女だった。男勝りな見た目からは想像できないほど純情乙女なようだ。ただ、淫紋プレイでスケベしちゃうとか、いったい何のプレイなのやら。


 ズシャァァァァーッ!

 ライデンが再び刀を構える。


「この雷切で決着をつけるのみっ! そこになおれ、斬り捨ててくれるわ――は、はうぅ~っ♡」


 案の定、勝手に催淫されてうずくまってしまう。


「こ、これで勝ったと思うなよぉぉぉぉ~っ♡ は、はぁ~ん♡」


 ちょっとエッチな捨て台詞を残してライデンは逃げて行った。



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