プロローグ
大地が揺れ動き、宙は雷鳴を轟かせ墜ち始める。遂に星々の黄昏が始まったのだ。
俺は声を上げ仲間を奮い立たせる。
「来たぞっ! 最終決戦だっ!!!!」
「「「おおおおおおぉぉーーーーっ!」」」
パーティーメンバーが一斉に武器を構える。
そして、前方の暗闇から空気を震わせるほどの叫び声が聞こえた。
『ぶおおおおおおおおおぉぉぉぉぎぃええええええぇぇぇぇぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁ――――』
聞いただけで魂を砕かれそうな咆哮と共に、禍々しく超巨大な怪物が現れた。それは、この世の物理法則を歪めたような、得体が知れない違和感を覚えさせる不気味さがあった。
その怪物は山のように大きく、酷く捻じれて絡まっていた。黒いような赤いような紫のような、様々な絵の具を混ぜてグチャグチャにしたような色をしている。
手のような足のような、何百本もの触手を生やし、巨体をウネウネと動かし俺たちの方へと向かってくるのだ。
「弓兵隊、支援魔法隊、放てぇぇぇぇーっ!」
俺たちを支援するために来た、選りすぐりの精鋭である勇者の軍勢が、一斉に魔法を帯びた強弓を射かけ支援魔法を放つ。
ズシャ、ズシャ、ズシャ、ズシャ、ザッザッザッザッザッザッザッザッザッ――
『ぶおおおおおおぇぇぇぇわああああぁぁぁぁぎゅぇぇぇぇえええええっ――――』
「「「ぐああああああーっ!」」」
怪物が咆哮すると黒いガスのようなものが噴き出した。
その魂を砕く咆哮と全身から吐き出される瘴気を吸い込み、精鋭であるはずの勇者がバタバタと倒れて行く。
人の身で敵うような相手ではないのだ。
誰もが絶望的な終焉を予想したその時、俺は高らかに言い放った。
「まだだっ! まだ終わっていない! 俺たちは最強の七星神だ! 俺たちがいる限り人類は負けない!」
俺の声を聞き顔を上げた少女が戦棍を掲げた。
「聖天スピカの名のもとに、皆々に等しく全ての治癒と蘇生と神の奇跡を! 高位神聖範囲復活!」
少女が究極の治癒魔法を唱えた。そこにいる全ての者の体力と魔力を回復し、あらゆる呪いと状態異常を解除したのだ。
少し頼りなげに見えるその少女は、神にも等しい力を持つ神聖魔法の使い手。あらゆる最上位神聖魔法を駆使し、人々を救う聖女である
ザンッ!
「一番槍は私に任せてもらおう! 今こそ奥義炸裂の時! 神速の刃、くらうがよいっ!」
人の背丈ほどもある日本刀を持った女が先陣を切る。恐ろしく重く強力な野太刀とも大太刀ともいわれる刀だ。その長身の女は、大太刀を軽々と振り回す。
ビュンッ! シュバッ!
「ふむ、吾輩もお供いたそう。女子に先陣を切られ後れを取ったとあらば末代までの恥。見事武勲を立て人々の輿望に応えよう!」
デカい、バカでかい男が前に出る。2メートルは超えそうな身長に分厚い筋肉。そこらの剣による斬撃や攻撃魔法をくらっても、傷一つ付かないであろう異次元の肉体の男だ。
戦士系だけではない、魔法使いの女も立ち上がった。
「我を忘れてもらっては困る! 超位極大魔法を見せてやる! ふひっ」
長い黒髪の女が超位深淵魔法双頭杖を構えた。
この女、ちょっと変わっているが、この世の常識を超えた超位極大魔法の使い手である。この女の魔法一つで国が亡ぶとさえ言われている。
次々と七星神が並び立つ。世界の終焉を止めるために。
そう、これは御伽噺のような本当の物語。ただのポンコツパーティーだった俺たちが、いつの間にか世界で最も輝く星となり、滅びゆく世界を救う英雄神話である。
この物語は、ポンコツ美少女ばかりを仲間にして冒険していた主人公が、いつの間にか伝説の英雄になってしまう物語です。お気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
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