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初乗へんのその前


 KOGAさんに決めた、変更したといって、すぐに乗って帰ったわけではなかった。

 心境としてはすぐにでも乗りたい、走りたいが、細かい調整やフィッティングがある。

 いやそれ以上にまだ大事なパーツを着けていない。

 これがないとどんな高性能なロードバイクでも、プロが使用するハイエンドなマシンでもその力を十全には当たり前、一割も、いやその十分の一も出せない、それほど重要なもの。

 それは、ペダル。

 ペダルが無ければ漕げない、ということはすなわちロードバイクは前へと進まない。

 ロードバイクにはペダルが付属していないことが大半で、御多分に漏れずKOGAさんにももちろん着いてはいなかった。

 ペダル、足の力をロードバイクに伝える大事なパーツ。

 ペダルなんかどれも同じ、知識のない人はそう思うだろう、事実僕もロードバイクについてあれこれと調べる前は同じように考えていた。

 だが、そうではない。

 実に様々な規格のペダルが世の中には存在している。 

 ロードバイクのペダルは、スキーやスノーボードのようにビンディングという機構が備わっている。シューズの底につけたクリートという部品をビンディング機構によってペダルに固定させる。

 固定させると聞き、危ないと思われる人も多かろう、知識が皆無だった頃の僕も同じような感想を懐いた。だが、固定されていることによって高速走行時や下り坂で不意にペダルから足がズレてしまうという危険性はなくなる、スピードが出ている状態で体制が崩れてしまうと大事故に、大怪我に。固定されていることによって普通のペダルよりも漕ぎやすくなる、というメリットも。そのメリットは理解できるが街中で固定された状態で走って、いざという時、止まる時にはどうなのかと訝しがる方もいるだろう。しかし、慣れれば、捻るだけで簡単に外せるものでもある。比較的安心なのだ。

 話が少しズレた。

 クリートの機構は各種メーカー、一つの会社から二つの規格というのも、から販売されており、対応しているペダルでないと嵌らない。2016年のツールドフランスでマイヨジョーヌを着るフルームが合わないペダルのロードバイクで悪戦苦闘し、ついには乗り捨てたという事例もあったぐらいだ。それくらい複数のメーカーから、いくつもの規格のペダルが存在していた。 

 普通ならば、ここでまた大いに悩んだかもと思われるかもしれないが、僕はあっさりとペダルを選択した。

 実というと、KOGAさんに決めるはるか以前、それこそアルミのロードバイクを注文した時からペダルはこれと決めていた。

 僕が選び、幸いにも在庫があったペダル、それはシマノPDA530。これは片面がSPD、もう片面がフラットペダルになっているもの。

 SPDというのはシマノのクリートの規格で、主にマウンテンバイクに使用するもの。

 買ったのはロードバイク。なのに、何故、マウンテンバイクのものを着けたのかというと、ロードバイクを買うに当たり色々と買った資料(マンガ)で、連載当時登場キャラがいつか死ぬんじゃないかと読者を冷や冷やさせたマンガのチタン製のフレームに乗る主人公や、ブルベの参加を夢見る女子大生のマンガ、それぞれの主役がこのタイプのペダルを使用していたからという少しミーハーな理由もあるが、それ以上に僕がロードバイクの乗る目的は城跡や遺構巡り、目的地に着いてからは歩くことになるという前提があったからであった。だからロードバイク用のSPD-SLでは大きなクリートが邪魔で歩き難い。それと比較してSPDはクリート部分が小さく、また金属製であるために地面には接地させない、少々厚底になっている。そして片面がフラットというのも実に好都合であった。すぐにビンディングを使用するつもりは毛頭なかった、まずはフラットペダル、普通のシューズでロードバイクに乗ろう、そして慣れた頃合いにシューズを購入し運用しようと画策していた。

 ならば、その時にペダルを交換すればと思われる人もいるだろう。その疑問についてお答えしたいと思う。ペダル交換にはペダルという部品だけではなく工賃というものも発生する。できる人ならば自分で交換できるのだろうが、生憎僕には道具も腕もない、さらに言うとお金もそんなにない。そして今なら工賃はかからない。だからこの一挙両得ともいうようなペダルは実に魅力的に映った。

 そしてそれを選んだ。

 だが、この選択が後にちょっとした過ちであったと後悔するだが、ここではまだ述べないことのしよう、時期がきたらお話しようと思う。


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