100キロ 計画へん
浮かんできた土地は、父の実家のある場所で、僕の本籍地でもあり、そして先祖代々の、といっても数代程度のだが、墓のある所。
そして今住んでいる市からおおよそ50キロ程離れた場所。
往復すれば単純計算だが大体100キロということになる。
まさに打ってつけの場所。
それに加えて、そこを選択することによってあることも一緒に済ますことが可能になる。一石二鳥になるというわけだ。
そのあることとはお墓参りである。正月に行って以来訪れていない。丁度時期も良い。三月の終わり、お彼岸も近いことだし。
僕の提案にKOGAさんは、
「目的があるというのは良いことよね」
と、賛成を表明してくれた。
目的地が決定された。これでは後は当日走るだけ、というわけではなかった。
走る前の準備することが。
身体のケア、持っていく物の用意、それからKOGAさんの整備。
そして、ルートの選択。
これが非常に重要であった。
世の中一本道ばかりではない、近くのお店に行くだけでも複数のルートが存在する。ましてや今回も目的地は50キロの彼方。いくつもの道がある。
先祖代々の墓のある地なので、それこそ幼少の頃から幾度となく行った場所である。昔は父の運手する車で高速道路使用して行っていた。だが、今回使用するのはKOGAさん、ロードバイク。当然のことながら高速道路の走行は不可。ならば次の案は国道二桁台の道。この道はほぼ一本道で墓のある市まで行き、さらにはお寺近くにまで伸びて、その先へと続いている。だが、これも却下であった。というのも、KOGAさんに乗った初日の帰り道で使用した国道よりも酷い、全国的に名の知れた事故多発の道であった。車道を使用せずに、歩道を使い走るということも一応可能なのだが、いくつかの高架が存在し、高架には歩道は設置されていない。ということはルートを外れるか、もしくは危険を承知で高架に突入しなくてはならないことに。制限速度を遥かに越えたスピードで走る車が千も万もいるような道を選択するという考えは微塵もないし、KOGAさんもそのルートは却下と言う。次に国道一桁台。これはあのお店の前のルートで道がやや狭い。候補とはなるが積極的に選択したいと思わない。さらにいうと、その道は途中まで。お次は山道、このルートは車に乗るようになってからよく使用し、知っている道であった。アップダウンを繰り返し、運転をしながら自転車で走ったら気持ち良いかもと夢想していた。だが、いざロードバイクに乗るようになり、自分は上りも下りも苦手であるという事実に気付かされた。交通量は前に挙げた二つよりもはるかに少なく安全面では最有力なのだが、如何せん坂が、それに100キロという距離も未知数であるし。いくつかのルートが頭にぱっと浮かんでくるがどれも決定打にかけた。
悩む。
考える。
地図を見ながらあれこれと思案を。
だけど、地図だけでは分からないことも多々あった。
それを補うようにネット情報の収集。
そうして、ようやくルートが決定した。




