表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一輪咲いても 花は華。  作者: 小鳥遊 雪都
3/6

お礼。

「あの・・・ありがとうございました!」


そう言って深々と頭を下げたかなえの頬は火が出てしまうのではないかと言うほど熱くなってしまっていた。


「どういたしまして。さ・・・もう頭を上げて?」


そう言ってクスクスと笑ったその人にかなえは『はい』と返事を返し、下げていた頭をゆっくりと押し上げて姿勢を正すと先ほどよりも頬を熱くさせてしまっていた。


近い・・・。


かなえがそんなことを思ったのも束の間のことだった。

かなえは目の前に立っているその人に見惚れてしまっていた。


「・・・あ~・・・これ? あの~・・・コスプレ! あそこでイベントやっててさ・・・」


そう言って苦く微笑み『あそこ』とイベント会場を指差したその人の指の先などかなえは見もせずに『そうなんですか・・・』と気のない返事を返してその人のその姿を不躾なほどに見つめ見てその姿の美しさに驚かされてしまっていた。


かなえの見つめ見るその人はとある人気ゲームの男性キャラクターのコスプレをし、その男性キャラクターを模したメイクをしていたのだけれど、その目鼻立ちから察するにそのメイクを取ってもその人のそのかんばせが美麗であることは確かだった。


「ナンパされたのははじめてだった?」


その人のその問いにかなえはまた頬を赤くし、何度も頷きながら先ほどの出来事をとろとろと思い出していた。


もし、この人が助けに入ってくれなれば私はどうなっていたのだろう?


そんなことを考えるとかなえの手は小さく震えてしまっていた。

そして、そんなかなえの手を優しく握る手があった。


「・・・大丈夫?」


その人のその心配にかなえは小さく頷いて俯くことしかできずにいた。


「・・・大丈夫じゃないよね? 手、震えてるし」


そう言ってクスクスと笑ったその人は模しているその男性キャラクターそのものだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ