プロローグ
初投稿、そしてまったくの素人ですので読み苦しいところが多々あることと存じますが、何卒、よろしくお願いいたします
―魔法―と聞くと前時代の人間ならば、どう反応しただろうか。
面白いことを言うと笑うだろうか、くだらないと嘲笑するだろうか。
魔族、と呼ばれる生物の世界があるとき、人の住む世界に重なった。
人類はそのとき魔法の存在を身をもって知った。工業技術で栄えていた人類はその未知の力に驚嘆し、恐怖し、好奇心を抱いた。
魔法で栄えていた魔族もまた同様であった。
互いに持たない技術を知り、学び、自分達も生活に取り入れることで文明に新たな革新を迎えることになった。魔法の行使に必要な魔力は生物にある魔力孔を開くことで人類にも生成可能になったことで寿命、健康寿命ともに飛躍的にのび、身体能力もそれに比例した。
魔族は魔法に依存していた生活に工業を取り入れることで、自らの体に魔法の行使という負担をかけることでしかなしえなかった重労働をその負担なしに成すことが可能になり、不慮の事故や、魔法を除いてしまえば中世的ともいえた文明は近代にまで一気に繁栄した。
それでも、異なる種族が完全な友好を築くのは困難なものである。同じ種族であっても肌の色や住んでいる場所の違いなどというくだらないことで戦争をはじめてしまうのだ。種族そのものが違うというならば尚更である。人と魔族の間で起きた、世界という範囲でみれば実に小さな事件。それがもともとあったそれぞれの種族内にあった反魔・人感情が爆発した。デモが起き、その規模を増し、暴力事件や殺害事件が多発するようになっていき、正規軍・民間軍事会社・経済圏・中立国問わず、すべてを巻き込んだ戦争が起きた。第一次人魔大戦と呼ばれた。
―それが、もう約100年前のことである―。
そこから80年、長い時をかけて関係を修復し、和平を結ぶため両種族の総統が会したとき、第一次大戦の火種となった事件など比ではない事が起こった。魔族首領であるアウルベルド・ゼフィランスが殺害されたのだ。それも人類内の反魔勢力ではない。事件直後にその存在を露にした「テスカトリュース」という魔族組織だった。テスカトリュースは驚異的な速度で魔族界を制圧し、人間界にも勢力を伸ばしてきていた、が、その進行はある日を境にパタと止み、魔族界へと後退することになり、現在に至るまで小さな小競り合いが断続的に発生するにとどまっている。
これは、そんな世界に存在する民間軍事会社「アレステア」に所属するエリス・R・クリュセートの物語。
傭兵奇譚―プロローグ― お読みいただきありがとうございました。