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メンヘラ(3)

「気にすることじゃないってわかってても気になるものなんだよ…。」


自分では気にしていないつもりでも、気がついたら考えている、なんてことはよくある話だ。意識しない、考えないというのはほとんど不可能に近い。ではどうすればいいのだろうか、探偵は思考を巡らせる。そんな中、探偵に一つの疑問が湧いてきた。


「なあ、以前…あー、前回とかそれよりも前とか、覚えてるものでいい。精神的に不安定になった時、いつも死にたい…って考えるか?」


それは閃きにも似た疑問だった。精神が不安定になる時、所謂病んでいる時はいつも死にたいと思うのか。何度も気分が落ち込むわけだ、今回だけが特別で今回だけ死にたい、とは考えづらい。


「まあ…気分的に落ち込んだ時はよく死にたいって思うけど…?」


やはりそうだった。『依頼人』は日常的、とまではいかないがなかなりの頻度で死にたいと考えるらしい。ではその問題の解消はそこまで難しい話ではないのかも知らない。


「だとすれば放っておいても大丈夫って思わないこともない。だけどまあ、それじゃあ辛いだろうから一つ、アドバイスをしよう。気分的に落ち込んだ時はその落ち込み具合を形にするといい。」


『依頼人』は探偵の言葉を聞いてもあまりよくわからないような顔をしていた。それに気づいた探偵が更に続ける。


「例えば数値化する、とかな。5段階評価とか確率で表す、とか。そうすれば落ち込んだけど死にたいってほどまではいかないだろうか?って考えれるようになるはずだ。他には自分の趣味何回で元気になれるか、みたいな考えをするとか。最初はそれでも落ち込むだろうけど何度もやってれば少しは楽になれるのではないだろうか。」


探偵は自分の言ったことを噛み砕いて説明する。何かしら形にすることでそれよりも大きな気分転換ができる、そうすれば少しは楽になるだろう。そう考えた。口に出して形にできたらそれはベストだ、口にすることで楽になる場合もある。


「で、今の落ち込み方はどうだ?死ぬのが100パーセントだとしたら今は?」


「60パーセントぐらい…かな?」


『依頼人』は考え込んだ後に答えを口にした。その顔は少し笑っているように見えた。


「ドタキャンされたって理由でそれは少し高いな…でも、まだまだ全然大丈夫だろ?」


探偵は少し難しい顔をし、そして笑い返した。

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