case15 ネットワーク上の関係(1)
「このように、浮気調査をする場合は同窓会など、偽物の招待状を利用すると証拠が手に入りやすい。」
「なるほど、意外とクラシカルというか…なんていうか、古典的なんですね。」
「そんなもんさ。」
それは如月を一人前の探偵にすべく教育を施している時であった。事務所のドアが開き暖かい風とともにひとりの男が中へと入ってくる。身なりや身長、雰囲気から推測するに探偵に仕事を依頼するにはまだ若いようにも思える。
「いらっしゃい、素行調査から盗聴器の発見、人探しなどもお任せあれだ。どんな依頼かな?」
その男は少し考えたのちゆっくりと話し始めた。
「以前、名前が派手な男がここに来ましたよね…?僕はその人の紹介でここに来たんですけど…。」
「おっと、どうやら仕事の依頼じゃなくて『依頼人』のようだな。如月、講習は中断だ。」
名前の派手な男、以前ここに来た『依頼人』だ。その『依頼人』に探偵としての技術を見せた覚えはない。となるとサイト関連だろう。
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『依頼人』に紅茶と茶菓子が差し出された、それを始まりの合図にして探偵は話を始める。
「さて、何があったのか、話してくれるか?」
『依頼人』はゆっくりと口を開く。
「まずはこれを見てください…。」
『依頼人』が見せてきたのは1つの画像、それは1人の人間がSNS上で愚痴を吐いているもののスクリーンショットであった。あまり好ましいものではないだろう、だがネットの世界では実名を伏せてこういったことができてしまう、それも匿名で。
同じ趣味や仕事で繋がりができた、ということがあるように、愚痴においてもまた、同じようなことを吐く人間が繋がりを作ることもある。
「まあ、今の時代なら少なくはないタイプだな、これがどうした?」
「実はこれ…この愚痴の先が僕に向いてるんじゃないかなと…思って…。」




