生に嫌気が差した男(2)
探偵さんが黙ってしまったので、私が話をして場を繋がないと…
「えっと、たまたま友達の機嫌が悪かったっていうのもあるんじゃないかな?」
「普通に話してた友達が俺と話し始めて顔色を変えるのにそれがたまたまだと思う?」
しまったぁぁ…逆効果…
「これ以上用がないなら俺帰るよ。」
「あぁ、ちょっと待って…。」
『依頼人』さんが事務所を出ていこうとした時、探偵さんが口を開いた。
「無理矢理ここに連れてきたんだ、家の近くまで送る。どこかは知らないがそれなりに距離があるだろう?それに、帰る途中で自殺されるのも困るからな。」
「今日はもうその気は失せたよ、あんたらと話してると腹が立ってくる。車出してくれんだろ、早くしてくれよ。」
足早に事務所を出て行く『依頼人』を見つめたまま探偵さんは怒っているような考えているような複雑な顔をしていた。
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「ふぅ…ただいま。」
「ふぅって…ため息つきたいのはこっちの方なんですからね!探偵さん急に黙るんですもん…。」
帰ってきて早々にため息をつかれるこちらの身にもなってほしいものです。あ、そういえばなんで黙っちゃったんでしょうか?
「探偵さん、あの『依頼人』の方に何を感じたんですか?なんていうか…急に黙るような理由があったんですよね?」
「そうだな…逆に聞くが如月、あの『依頼人』に対して何か違和感を感じたか?」
違和感、と言われても『依頼人』さんたちはみんな普通じゃない雰囲気だし…
「強いていうなら…普通という点にこだわっていたというか…。」
「言われてみればそうだな。近いが、そこではない。彼はなぜ普通に生活してるのに友達に離れられていく?なぜ普通にバイトをしていて脅される?果たしてそれは普通だといえるか?」
…なるほど、言われてみれば確かにそうだ。普通に生活しているならそうはならないはず。何か普通じゃないものが絡んでいるのかも?
「さて如月、出かけるぞ。『依頼人』の周辺にはまだ俺たちの知らない秘密がある。」
私たちの知らない…秘密が…?




