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小休止(2)

その日はいつもより早くに起きた。ベッドで眠らずにデスクに突っ伏して寝たせいか体が痛む。今からベッドに入って寝たら寝過ごしてしまうだろうか、そんなことを考えつつ事務所の空気に当てられてすっかり冷えてしまったコーヒーをカップに注ぐ。


時間が経ったコーヒーはお世辞にも美味いとは言えない。こんなことなら仕事も程々に切り上げてベッドで眠ればよかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その日はいつもより少し早い時間に起きた。仕事で疲れているであろう両親を起こさないようにそっとキッチンへ向かう。いつもより1人分多いお弁当、事務所に行く時とは違うゆったりした服装。


今日は探偵さんとお花見です!車も出してくれるらしいですし名所に行くらしいです!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おはようございます!」


いつもよりも元気な声が事務所に響く。


「おう、おはよう…。」


いつもより眠そうな声が事務所から聞こえる。


「探偵さん…結局あの後仕事を続けてたんですね?あんまり根を詰めすぎないようにって言ったじゃないですか!」


「終わりどころが見つからなくて…すまん。」


返す言葉もない、というような謝罪の声が聞こえてくる。


「もういいですよ、早く行きましょう。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「流石お花見の名所…綺麗ですね、探偵さん!」


「あぁ、まさに絶景だな。」


目の前の景色につられて気分も浮かれてしまうようであった。


「さあ!始めましょう!」


景色に見惚れている探偵の隣で助手の声が聞こえてきた。明らかに弾んだ声だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


沢山のことを話した。サイトの話、探偵の今までの仕事の話、世間の流行、2人が読んでる本の話。昼食を済ませ、話すことも尽きてきたころ


「久々にゆっくりした気がするな…。」


「探偵さんも、たまには休憩してくださいよ?もし体を壊したりしたら怒りますからね!…ん?探偵さん、あそこ、あの木の陰の方…。」


人影が見えた。名所であるため人がいることは何も不思議なことではないだろう。だがその人影の動きが明らかにおかしい。


「妙な動きだな…ちょっと見てくる。如月、不審者の可能性もある、警察の準備を頼む。そうでないことを祈るが…。」


不安は大きくなる一方、今まで明るかった景色が一瞬にして薄暗くなった感覚だった。探偵はそっと人影の方へと向かっていき、しばらくした後その人影と会話する素振りを見せたかと思うと、その人影の主とともにこちらへ戻ってきた。


「如月、警察はいらない。それと、本当にすまないが事務所に帰るぞ。『依頼人』だ。」

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