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case11 離れることのできない作家(1)

「如月、明日『依頼人』がくることになった。」


唐突なことであった。自殺というもの自体は、唐突なものであるために別段驚くようなことでもなかろう。如月が驚いたのは連絡を取る方であった。通常何度かに分けて連絡してゆき、数日ほど経ってから日程が決まるもの。だが今回のパターンは早い、何か…早くなければいけない問題があるのだろうか…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「こ、こんにちは…。」


ゆっくり開かれる玄関から、ひとりの女性が入ってくる。


「いらっ…しゃ…あぁ!!」


如月が言葉の途中で叫んだので何事かと思い『依頼人』の女性を見るとその女性は最近如月が探偵に勧めている小説の作家であった。よく如月から写真付きで話を聞かされるため、顔がしっかりと記憶に焼きついていた。予想もしてなかった出来事に思わず自分まで叫びそうになる。それをぐっと堪えて如月が途中で放棄した話を続けた。


「いらっしゃい、どうぞこちらへ。」


今話題の作家がテーブルを介して座っていることがにわかには信じがたいことだがその作家も、また『依頼人』であることを思い出し背筋が伸びるのを感じた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「最近、小説で人気になってから…なんていうか仕事がよくわからなくなってきたというか…好きだった小説を書くってことがよくわからなくなってきて…迷った結果、全てを捨ててしまおうかと思いました…。」


さすが今をときめく人気作家、選ぶ言葉も豊かな表現で気取った様子だ。だが、それは小説の内容ではなく現実、しかも作家自身に降りかかった災難。1人の読者としても探偵としてもどうにかして救いの手を届けたい。


「今が波に乗ってる時ですから捨てるというのは良くないのではないでしょうか…。」


「それが終わればまた始めからなんです。作家というのは、始まりと終わりを何度も繰り返しているようなものなのです。」


やはり作家らしい表現である、物語を作りそれを世に出す、『依頼人』はそれを始まりと終わり、と表現した。まさにそうだろう。数多の物語を生み出してもそれが流行るとは限らない、その不安が好きであったことを仕事へと変えてしまったのだろう。好きなことが仕事に変化にするのは悪いことではない。


好きなことを仕事だと割り切ることができるのであれば

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