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意味を見出してしまった男(3)

「私を再び呼び出して何の用だ?」


心の底から面倒臭そうな声が探偵に投げられる。答えは簡単だった、だがそれまでの式が複雑であった。いくつかの理由が複雑に絡み合った結果。


「貴方の近所で最近怪しい宗教への勧誘が流行ってるみたいですね。俺も引っかかったけど、内容がそっくりなんですよ。死こそが救いだって内容が、さ。」


『依頼人』のことを調べていて見つかった事実。怪しい宗教への勧誘。


「もう1つ、最近、社会の波が厳しいって笑いながら話してたらしいですね。本当は笑い事じゃなかったのでは?そして最後、昔は普通の人だったって聞きました。」


『依頼人』のことを調べていて見つかって事実。昔は普通の人間であったこと。


「普通の人って、知らないうちにストレスを溜めてしまうものなんですよ。自分でも気づかないうちにストレスを溜めてしまった、そして宗教勧誘に遭遇。本当ならその宗教を怪しんだはずだった、でも貴方の心はその時既に壊れていた。それが貴方がこうなった理由です、違いますか?」


「ああ、そうさ。全く、その通りだよ。」


「まだ、間に合います。やり直せるんです。」


舞台を終えた演者のような疲れた顔をしながら探偵の言葉を肯定した。


「もう、いいんですよ!全部を諦めて…楽になりたいんです!」


『依頼人』が叫んだ刹那。探偵は『依頼人』の胸ぐらを掴むとその背を壁に押し付け、絶叫するかのごとく言葉を吐き出した。


「生きることを諦めんなよ!」


「それがもう嫌になったんだ…。」


力の抜けた言葉を聞き終えらが早いか、探偵の言葉が更に続いた。


「社会の波がどうした!ぶつかって、ぶつかってぶつかって、何度でもぶつかって!それで一回乗り越えれたらこっちのもんだろうが!死が救い?笑わせんな!死は後にも先にも悲しみしか残さないんだ!救われたいと思うんなら生きろや!救われたって思うまで必死になって生き抜けや!」

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