意味を見出してしまった男(2)
「なぜ、自殺をしようと…思ったのですか?」
幾度となく聞いてきた言葉がまた新たな『依頼人』へと投げかけられる。同じでない点をいくつか挙げるとすれば、如月の『依頼人』に対する感情や『依頼人』の雰囲気であろうか。特に後者は違いがはっきりとわかるほどだ。生に対しての絶望、死への恐怖、それらが色濃く残っているのが通常の『依頼人』。だが今回はそれがない。
「私は救われなければならないからだ。死とは救い、救済である。」
寧ろ死に対して意味を見出してしまっている。サイトでの会話と変わらない内容に溜息をつきそうになる。それをぐっとこらえて話を続ける。
「えっと、もう少し詳しく教えて欲しいのですが…よろしいですか?」
「これ以上話すことはない。では、失礼する。」
まともな会話はほとんどせず、『依頼人』は玄関から出て行ってしまった。
「探偵さん、あの人死ぬことが怖くないって感じでしたけど…それでもあの人も『依頼人』だっていうんですか?」
「理由はどうあれ自殺をすることに変わりはないからな。それより、後を追うぞ。」
何もわからずに終わることはできない、せめて『依頼人』がなぜああいった人間なのかだけでも知っておきたい。
探偵とともに『依頼人』をつける。如月は心の中でそっと、探偵が職業に探偵を選んだのはこういったこともあるからか、と呟いた。
『依頼人』が口にしづらいことがある時、身の回りの環境等を調べるのに探偵はうってつけだ。
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「あぁ、あの人?昔は普通の人だったわ。」
「え?あんな風になった理由?うーん、知らないなあ。」
「あの子とはよく喋るよ?少し前までは確か…社会の荒波は厳しいな〜って笑いながら言ってたけど…。」
どうにも核心に迫ったものが出てこない。助手にも手伝ってもらっているが昔は普通だった、ということしか聞かない。
「そういえば最近変な宗教の勧誘がここら辺で行われているから、あんたらも気をつけなよ。あの子もこの前引っかかってたんだよね…。」
それは困る、と苦笑いをしながら他を当たろうとした時、頭の中で何かが音をたててくっついた音がした。パズルがひとつになったような、思いがけないところにヒントがあったような気分だ。




