特殊な2人(2)
迷惑をかけたくないから死を選ぶ。そう聞いただけでは他人を優先しすぎだ、と言われるだろう。だがよく考えてほしい。他人からは良く見られず、さらにそれが影響して自分の活動にも支障をきたす。人はそれをストレスといって発散するために趣味に没頭したり、他人に愚痴を吐いたり、時には酒の力を借りることもあるだろう。人が死を選んでしまう時には、自分の力だけでは解決しきれない問題の存在が大きい。ストレスとその他死を選ぶ要因、そこになんの違いがあるというのだろうか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「今戻った。どうだった?そっちの方は。」
「そうですね、良くも悪くも他の『依頼人』の方たちと一緒です。あ、まとめたものはデスクに置いてあります。」
デスクに新たに増えた資料に目を通しながら違和感に気づく。そしてすぐにその違和感の正体に気づいた。状況がもう一方の『依頼人』と同じなのである。何から何まで重なっている。違う点があるとすれば、それはお互いの自殺に至った原因、という点だろうか。
「如月…これマジ?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「これは…困りましたね…。いい解決法が見当たらないです…。」
「そう…だな。正直な話、2人とも救われる方法が見つかんないわな…。」
いつも通りではない口調にツッコミを入れるのをやめた2人はしばらく考え込んだ。時に思いついた案を共有しては、実行に難があることに頭を悩ませまた思考を巡らせる。
「…あまり認めたくないことではありますけど…でもこれ以上にいい方法がないのも確かなんです…。」
「多分同じこと考えてるな、言ってみてくれ。」
緊張した面持ちで如月がゆっくりと口を開く。それは2人の『依頼人』、両方が救われる案ではない。探偵もそれを理解した上でさらに続ける。
「『依頼人』の片方を…せめて苦しませずに…殺してあげる…しか…。」




