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人間が嫌いな人間(2)

「何がいけなかったんでしょうか?」


一連の流れを見ていた如月はコーヒーを差し出した。如月の疑問が探偵には純粋な質問と嫌味の2通りに聞こえた。勿論、如月は至って真面目に疑問を投げかけただけだが。


「そういうことだろうなぁ…。」


探偵は1人で納得をする。自分にとって例えばこうしたらどうだろうか、といった提案でもそれを受け取るのは相手だ。この程度、とでも思われたのだろう。依頼人の言葉が頭をよぎる。


この人なら、と思った私が間違いでした。


『依頼人』はこの人ならもしかしたら、と思ったのだろう。だが自分はそれに応えることができなかった、『依頼人』にとっては一縷の望みだったのだ。


「俺が『依頼人』の状態を分析できていなかったのが問題だったな…。」


もうすっかり冷めたコーヒーを口に運び、自分の失敗を責める。


「で、どうするんですか?『依頼人』さんが失望して出ていってしまったからこれでもう終了〜、ですか?」


如月が意地の悪い言葉を探偵に投げる。探偵は助手に向かって仏頂面を作ってみせた。


「ハッ、まさか。まだ『依頼人』は自殺したわけじゃない、ならまだやれるさ。」


完全に開き直ったとまではいかないが、今までの落胆した表情はどこかへ消えたようだ。小さな声で「ですよね、そうでないと困ります。」と聞こえた気がした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


事務所のドアが開かれる。中に入ってきたのは以前と同じ人間が嫌いな『依頼人』だった。


「なんなんですか、急に呼び出して…。」


『依頼人』はこれ以上話すことはない、と言って事務所を出ていった。にもかかわらずまたその事務所に訪れていることに表現し難い不快感を感じる。


「まあまあ、そんな嫌な顔せずに。少し、俺と話そうじゃないか。」


意味がわからないという表情をする『依頼人』を意にも介さずソファへ座る。


「ほら、いつまでもそこに突っ立ってないで座りな。別に変な事を考えてるわけじゃないさ。」


警戒しているのか探偵と距離を取っていた『依頼人』だが、探偵の声を聞き反対のソファへと腰をかける。警戒こそ解いてないようだが多少は会話する気になったようだ。


「そうだな…人間が嫌いだって言ってたよな。言葉の使い方に、ルールやマナー。他には何が嫌いだ?」


「…いろいろ。影で誰かのことを悪く言ったり、都合が悪くなるとすぐ逃げるところとか。人の感情をわかったように話す人も嫌い。」

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