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睡眠欲に勝てない人間(3)

「探偵さん、よかったんですか?」


如月が疑問の声をぶつけてくる。探偵とてこれで良いわけではない。何か対策をしなければならないだろう。


「良くはないな。ああ、本当に良くない。」


だが何をする?殺し屋を使う?いや、今回は上司一人の対応ではなく会社の対応だ、殺すとなると会社を潰す羽目になる。では『依頼人』に会社を辞めてもらうか?新しい仕事に就くまでの期間はどうする?『依頼人』はそれを望んでいるだろうか?いや、望んではいないだろう。では何が最適解なのだろうか…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数日して、『依頼人』が三度(みたび)事務所に訪れた。今回ばかりは事務所に訪れた理由がよくわからない。また何かあったら伺う、と言っていたので何かあったのだろうが皆目見当がつかない。


「何か、あった…んだよな?」


探偵の言葉にも若干の迷いが生じる。『依頼人』は無言で頷き話を始める。


「病気だってわかってから、会社の対応がさらに酷くなったような気がして…。こんなことなら先日辞めておくべきでした…。」


探偵は驚いて息を飲んだ、良くも悪くも事態が動いたのだ。となると、ここから先は『依頼人』の意思次第になるだろう。


「そうか…それでどうするんだ?まさか後悔するためだけにここにきたんじゃないだろう?」


「そうですね…。でもあと一押しが必要です。」


あと一押し、とはなんだろうか。それを自分達に話すということは自分達にできることなのだろうか、疑問は増えるばかりだ。


「具体的には、後輩の育成の残りをどうするかを考えて欲しいです。ご存知の通り、病気ですら対応しない会社です。そんなところに後輩を残すんですから変に影響されてほしくはないんです。」


あと一押し、の内容は後輩の救済。この『依頼人』はどこまで言っても人に優しいらしい。そして自分が傷ついていくことに鈍いようだ。その『依頼人』に頼まれたことは自殺を考え直してもらうことに比べれば些細なことだ。


「なるほど、わかった。それでは一緒に考えることにしようか。」


他人を思うばかりに自分が傷付くことに気づかないのは良くないことだ。自分が危険だと思った時、それに気づいた頃にはもう手遅れになってることが多い。今回はたまたま、運が良かっただけ。それでも救うことは出来たんだ。

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