プロローグ
この世界には魔王と勇者という二つの大きな役職がある。
魔王は農民、商民、などを含めた国民から財をうばい生活し、勇者は魔王の行いを阻むことを生業として生活をしている。
各々は生れつきなるのではなく出世の時の魔力検査によりある程度決められる。
例えば魔力が高ければ勇者、あるいは魔王。
魔力が中ぐらいでも頑張れば勇者、魔王のパーティ…まぁ仲間になれる。
そして魔力が低いものは国民としてその生涯を終えるのが一般的だ。
その中で僕、リン・フォンは魔力が低い中で勇者を目指し勉強している。
「ファイヤー…ファイヤー…」
今は実習の時間
皆各々が使える属性呪文を唱える
属性は沢山あるのだが基本的に大きく分けると6つだ
火・水・土・雷・風・氷
とこういう感じに分かれている。
僕の適性は風がほんの少ししかないため
「ウィンド…ウィンド」
唱えてもそよ風程度の風も起こせない。
「あれれ、リンちゃんはそよ風程度の風も起こせないのかしら?」
僕に嫌味を言うのはクラス一番…いいやこの学校ができてから初めてとも言える天才レン・リーだ。
父親が大魔王で母親は元勇者という色々と複雑な家庭状況なのだが本人はあまり気にしないらしい、というよりも周りが大げさだと思っているぐらいだとか
「レンちゃん、そのリンちゃんって呼び方やめてよ…せめて君ってよんでほしいな。僕は男の子なんだから」
抽象的な顔立ちに、低身長で声も高くブロンド色の髪を肩まで伸ばしている僕は初対面の人がみるといつも女の子に間違われる容姿なのだ。
「私に一度でも魔法で勝てたら男の子って認めてあげる。ウィンド…」
彼女の手から放たれた魔力の塊は木々をなぎ倒し森林に大きな一本道を作ってしまった。
彼女曰くこれでも力を抑えたのだとかいうので本気で攻撃した時にはどうなるかわかったものではない…
「僕だって、ウィンド…」
やはり僕の起こす風は落ち葉を数枚流す程度の風、クラス中の笑われ者だが彼女だけはそうでもなかった。
「昨日より、一枚多いわね、その調子で頑張りなさいなリンちゃん」
真面目な顔で言うレンちゃん
その真意は僕には分からなかった。
そしてそれから十年の時が経ち僕リン・フォンは16歳となった
10年たったというのに相変わらずの低身長に抽象的な顔立ち唯一変わったことがあるとするならば髪の長さぐらいだ。10年前は肩ぐらいだったが今では腰ぐらいまで伸びており毎日それを髪ゴムで一つにまとめる。
「やばい、早く行かなきゃ遅れる」
今日のクエストを受けそしてそれを続けて評価をもらいその結果により進むべき道が決まるのだ。
初等部、中等部、高等部とあり僕は今高等部でのクエストだ。
「レンちゃんも今から行くの?」
学校に行くための通りにレンちゃんが見えた
レンちゃんにしては珍しくそわそわしている様子だった。
「リンちゃん、私のことはレンって呼び捨てにしてって言ったじゃない」
そんなこと言われてもちゃんづけは子供のころからの癖だし、そんなことをいったらレンちゃんだって僕のことを呼び捨てか君づけにしてほしい
「まぁ、それはお互いさまじゃない?ほらレンちゃんも僕のことちゃんづけだし…」
レンちゃんは顔を真っ赤にして小言で何かを言った後
だっていつまでたってもリンちゃんが私に勝てないからでしょうなんて無理難題を言ってきたのだった。
レンちゃんは何でか僕にかまってくる。
落ちこぼれである僕に天才のレンちゃんがかまってくるのは最初は嫌味とかそういうたぐいのものかと思ったけどそうじゃなかった。じゃなきゃ十年間も続きようがないからだ。
「・・・」
しばらくの間無言が続いた
思い返せばこの十年色々なことがあったなぁと思う。
僕の魔力は極わずかしかないため剣の修行に明け暮れた。
剣術は皆が学ぶ必須事項だが魔法のほうが遥かに優れており剣術を極めようとするものなど誰もいなかった。
朝・昼・晩と剣をひたすらふった日々。
無論魔法の修行を怠ったわけではないがそれでも魔法のほうは成長が垣間見えなかった。
剣のほうはというと日々上達していくのが分かった昨日よりも今日そして今日よりも明日が結果がついてくるように一心不乱に剣を握った。
そして中等部卒業試験の日、僕は試験管であった先生に剣術だけで勝利することができた
試験管の先生は当然ある程度の魔法を使ってきてくる
試験管ともなると2~3属性の魔法を容易く扱える。
最初の距離は20m~30mで遠距離戦だ
遠距離では僕は戦えないため魔法を回避しつつ接近し攻撃をあてる必要があった。
放たれる何発もの魔法弾を寸前でかわして攻撃という手段でどうにか勝ったのである。まぁそれができたのも僕のとなりで今も無言で何か考えているレンちゃんのおかげだ。
レンちゃんの放つ無数の魔力弾それを回避しつづけそれが出来たらクッキーをもらう。ちなみにクッキーを焼いたのは僕だ。そしてレンちゃんが食べ終わる前に肩にタッチというのが練習だったのだが、そのために僕は幾度となく死にかけた。でも僕からお願いした特訓なので文句は一切ないしむしろ感謝もしている。レンちゃんは上位の魔法も使えて回復魔法はこの学校でレンちゃんしか使えない。
怪我があればすぐに回復をしてくれた。
そんなレンチャンはやはりというべきだろう試験管を一発の魔法で倒し楽々合格していた。
「今日からのクエストお互いに頑張りましょうねリンちゃん」
唐突にレンちゃんが言ってくる。
もう僕も今年で16何時までもレンちゃんに頼ってはいられない。
「僕…は一人で受けるからね」
ちょっと意地になったのかもしれない。
男のプライドとでもいうのか、そんなものが僕にも芽生えつつあったのだが
「それは、できないわ何故なら…」
クエストボードを見てみるそして…
「クエストは二人でこなしていくみたいよ」
そんなことをレンちゃんから言われた。