#005「アレルギー軽減」
@教室
ユーリ「オー、ちょうど良いところですね。数が苦にならない、数を楽しむ数楽の授業を考えたのです」
サクラ「面白そうですね、カンバラ先生」
タイラ「さっさと帰れば良かった」
ユーリ「身近なものに置き換えるならば、親しみが簡単です」
サクラ「親近感を利用するんですね、カンバラ先生」
タイラ「たまに日本語がオカシイんだよな」
ユーリ、黒板にチョークで図形を書く。
ユーリ「オーを中心とする円と、オーを通る直線があるのです」
サクラ「ギリシャ文字のファイのような形ですね」
タイラ「余計にわからなくなる譬えだな」
ユーリ「それぞれ交点をエー、ビーとしてですね、エーから接線がのびてます。そして、オーからも接線に向かって半直線がのびてます。オーからは直線に対する垂線ものびてます」
サクラ「駅で見覚えがある図形になってきましたね」
タイラ「あぁ、路線図か」
ユーリ「円と半直線の交点をシー、円と垂線の交点をディー、接線と半直線の交点をイーとすると、これらの線と点は、それぞれ何線の何駅ですか?」
*
@橘家
サクラ「円周上を内回りに走る普通列車、動点ピーと、線分ジーエイチを往復する地下鉄、動点キューが、一日に交点エービーを、それぞれ同じタイミングで停車する回数を求めよ」
タイラ「まだ、その譬えを続けるんだな」
サクラ「無味乾燥とした数学の勉強が、少しでも身近に感じればと思って」
タイラ「より苦手意識が増すだけだって」
サクラ「補助線を引きすぎて円が真っ黒になったり、面積がマイナスになったり、マークシートに記入する分数の桁が足りなかったりするようでは、試験をクリアできないよ、タイラくん」
タイラ「数学は捨ててるから、出来なくても良いんだ」
サクラ「たまには拾ってあげなよ。赤点を取ったら、修学旅行を楽しめないよ?」
タイラ「そういえば、旅行前に試験で、旅行後に補習だったな」
サクラ「終わったら補習が待ってると思いながら旅行したいなら、話は別だけど」
タイラ「どのみち、四月から受験生だろうに」
サクラ「気持ちの問題だよ」
タイラ「下線部における源タイラの気持ちを、次の三つから選べ。一、うんざり。二、あきあき。三、気が乗らない」
サクラ「全部一緒だね」
タイラ「退屈なんだよ。映画を観ようぜ。立派なプレイヤーがあるんだからさ」
タイラ、画面前に移動。
サクラ「しょうがないな、タイラくんは。観終わったら勉強会を再開するからね」
サクラ、棚からディスクを選ぶ。
サクラ「この三つのうちのどれか選んで」
タイラ「八十分しか記憶のもたない博士に、立方体に閉じ込められた六人に、ブラックジャックで一攫千金を狙う学生。絶妙なチョイスだな」




