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立春まで  作者: 若松ユウ
2/12

#001「食べ過ぎ注意」

@教室

タイラ、紙袋をしげしげと見る。

タイラ「食間に、二錠、お飲みください。食間と食中は同じか?」

サクラ「違うよ。食間は食後、二時間くらい経ってからという意味で、食中は食事中に服用するという意味だよ」

タイラ「そうなのか。俺は普段、薬なんか貰わないから、そのへん、詳しくなくてさ」

サクラ「僕も、そこまでお世話になっている訳では無いよ。薬も過ぎれば毒になるからね」

タイラ「食中薬が、食中毒になる」

タイラ、紙袋をしまう。

タイラ「食前とか、食後とかは、いつ飲めば良いんだ?」

サクラ「食前は食事の三十分から一時間くらい前で、食後は食事が終わってから三十分くらい経ってからだね」

タイラ「食事のすぐ前や後ではないんだな」

サクラ「そういう場合は、食直前や食直後と書かれてるよ」

タイラ、眼を瞑り、腕を組み、宙を見る。

タイラ「アレ? 何て言ったかな。アフェリエイトとか何とか。ほら、食事の前に飲む酒のこと」

サクラ「成功報酬型広告は、今の話に関係ないよ。アペリティフのこと?」

タイラ「そう、それ」

サクラ「未成年らしくないね。お酒と煙草と夜遊びは、もう辞めたのではなかったの?」

タイラ「辞めたよ。警察の世話になるのはコリゴリだからな。いつまでも札付きの不良扱いしないでくれ」

サクラ「ゴメン。過ぎたことを蒸し返すのは、品の良い行為とは言えないね」

タイラ「そう、かしこまるなよ。橘だって、もう勉強ロボットではないんだからさ」

サクラ「そうだね。私学に受からなくて良かったんだよね、タイラくん?」

タイラ「あぁ。あのまま一流大学や一流企業に入ったとしても、どこかで燃え尽きて無気力になってただろうよ」

サクラ「早い段階で自分を見つめなおして軌道修正できたと思えば、大きな収穫だよね」

タイラ「そうそう。バンバンジーが何とかって言うもんな」

サクラ「人生万事、塞翁が馬」

タイラ「それそれ。俺の言いたいことが、よく分かってるな、橘」

サクラ「二年近く一緒に過ごせば、何となくね。ボキャブラリーは貧困だけど、コミュニケーション能力には長けてると思うよ」

タイラ「一度に知識を詰め込もうとしたって、どだい無理な話さ。なまじっか、姑息な悪知恵を身に付けるだけだからな。いきなり大金が転がり込んできても、扱いに不慣れな貧乏人は、ツマラナイことで使い果たしてしまうだろう?」

サクラ「なるほどね。用法用量を守って正しく使いましょうという話か」


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