表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
立春まで  作者: 若松ユウ
10/12

#009「チョベリグ、チョベリバ」

@駅前

タイラ「苺とブルーベリー、ティラミスにマシュマロ。見てるこっちが胃もたれしそうだったぜ」

サクラ「そういうタイラくんも、あのサルサを食べて、よく火を吐かないものだと思うよ」

タイラ「俺は、龍や原子爆弾の怪物ではない」

二人の行く手に同年代の男子が二人、姿を現す。

タイラ「烏丸と鳩貝か」

カラスマ「久し振りだな、源。最近、鳴りを潜めてるじゃねぇか」

ハトガイ「何を企んでやがるんだ?」

サクラ、タイラに耳打ち。

サクラ「どなた?」

タイラ「昔、つるんでた悪友。前に話した、かつての不良仲間だ」

サクラ「たしか、小中学校が同じなんだよね?」

タイラ「あぁ。高校受験に失敗したところまでは知ってるけど、今は何をしてるのやら」

サクラ「白いスーツに原色のシャツ。服装から察するに、堅気ではなさそうだね」

カラスマ、二人のあいだに割って入る。

カラスマ「何をヒソヒソこそこそ相談してるんだ。エェ?」

ハトガイ、サクラの顎を三つ指で挟む。

ハトガイ「コイツが新しいダチなのか、源?」

タイラ、サクラを自分の近くに引き寄せ、二人から引き離す。

タイラ「気安く触るな。もう、お前たちとツルむ気は無い」

ハトガイ「それを聞いて、ハイハイそうですかと引き下がると思ってるのか?」

カラスマ、睨み合うタイラとハトガイを止める。

カラスマ「やめておけ、鳩貝。まだ日が高くて、人目が多過ぎる。それに、狙うなら独りのときのほうが良い。またな、源。今度、星の巡りの良い晩に会おう」

ハトガイ「ヘヘン。夜道は背後に注意するんだな。覚悟してろ」

カラスマ、その場から立ち去る。ハトガイ、それを追いかける。

サクラ「ホスト崩れと太鼓持ち。それとも、赤シャツと野だいこが良いかな」

サクラ、タイラの顔をのぞきこむ。

サクラ「大丈夫? 顔色が優れないけど、パクチーが中った?」

タイラ「何でもない。ただ、過去の自分にヘドが出そうになっただけだ」

サクラ「お節介なことを言うようだけど、過去の自分を否定してはいけないよ」

タイラ「虫唾が走るような過去でも、そういえるか?」

サクラ「もちろんだよ。どれほど嫌悪感や拒否感をもよおし、不愉快で唾棄すべきだと思うような過去であったとしても、今の自分があるのは、その過去があるからだもの。もしも過去のタイラくんが違う選択肢を採っていたら、僕と出会わなかったかもしれないし、出会っていても友達としてではなかったかもしれないでしょう?」

タイラ「なるほど。全部ひっくるめて今の俺があるという訳か」

サクラ「そういうこと。それにしても、あの野だいこは赤シャツに忠実だったね。生命に係わる弱みを握られてるのかな? あるいは、隠し子か死体隠しか埋蔵金か」

タイラ「推理小説の読みすぎだぞ、橘。鳩貝が烏丸の腰巾着なのは、小学校の頃からだ」

サクラ「本質を見抜いて現状を好転させるためには、時には飛躍した発想が必要なのだけど。フゥン。忠犬ハト公か」

タイラ「家に戻ったら、アルバムを捲りつつ説明するさ。恥ずかしいが、あの写真を見たほうが早い」

サクラ「百聞は一見にしかず、だね。それなら僕も、あとでクレープ代を返すよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ