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第20話:シスターコロン

食堂に入った俺は、司祭の女を近くの椅子に座らせる。

司祭の女は、痛めた右足を押さえながら、俺を睨む。


「こんなとこに連れてきて、何が目的よぉ!」

「怪我を治すには食堂がいいだろ。」

「なぁ、・・・。」

「ほれ、何か頼め。おーい、ウェイトレス!」

「いらっしゃいませ。」

「俺はオレンジジュース。」


俺がオレンジジュースを頼んだ時、司祭の女はアハハハハハハと腹を抱えて笑い出す。

何がおかしい・・・。


「わ、私は、そうだなぁ~。カシスオレンジを。」


NPCは、わかりましたといい店の奥に下がっていく。

司祭の女は警戒を解いたのか、テーブルの上に両肘をついて、手のひらの上に頬を乗せる。


「ねえ、君ぃ?」

「なんだ? というかさっきまでお前と呼んでいたのに・・・いきなりどうした?」

「アハハハハハハハ。君、細かいね。 ちょっとさっきまで気を張ってたからよ。」


そういうと司祭の女は右足が痛むのか、いててぇっと右足を押さえる。

俺は大丈夫かと声をかける。

傷を治してやりたいが、俺は回復魔法を使えないので、声をかけることしかできない。


「君はどうやら私達の敵じゃないみたいだし・・・。」

「私達?・・・・お前を襲った連中は、この町のことをボーナスステージと呼んでいたが、何故だ?」

「・・・・さっきも見てうすうす感じていると思うのだけど、この町の人達は戦わないの。」

「NPCじゃないんだろ。なぜ戦わない。」

「この町の人達は、皆戦うことを拒絶し、この世界に絶望し、生きることさえも拒絶しようとしている人達なの。理由はそれぞれあると思うのだけど・・・・。そんな人達が集まり住み着いた村なの。」

「・・・・・戦わなければただの虐殺が起きるだけだぞ。それが嫌なら食堂に逃げていればいい。」


俺は、食堂でNPCの真似をしていたアズサを思い出す。確かアズサも戦闘が嫌になったとかいてたな。


「戦闘を回避するのは確かにそれでいいと思う。でも・・・彼らは自暴自棄になっているの。」

「なに!?」

「戦闘職にない職業、狙われ続ける生活、この世界から逃げることさえもやめてしまった人達なの。」

「・・・・それで何もせずに死んでいると・・・。」


俺は、食堂から外を見る。

生き残った人達は何もせず、ただ座り込んでいる。

傷をおったもの、裸のままのもの・・・関係なく、何もしていない。


「お前はなんでこの連中を助けようとする。」

「そうねぇ・・・。私は10年前くらいかしら。

 ボーナスステージが出たという噂を聞き、ある町に向かったの。

 経験値が無傷で手に入るっていうから、私は急いで町までひとっ走りしたの。


 ・・・で見た光景は、ただの蹂躙だった・・・。

 今までの私は、ただ相手をどのように倒すかを考えているだけだった。

 その光景を見た時、私は思ったの。

 私はシスター。シスターコロン。弱きものは私が護ると!」


「シスターだったのか?」

「うん。現世ではシスターだったの。今被ってるのは、この服は現世からのものよ。」


コロンという司祭・・・シスターと言っておこうか。昔を懐かしんでいるのか表情が和らいでいる。

俺はそのままシスターの服に目線を移すが、そこはさきほど破られて少し胸の谷間が見える。

俺は瞬時に顔を背ける。

そうしてると、NPCが飲み物を俺達に配って、下がっていく。

その時、俺は思い出す。


シズカと草原を歩いているとき・・・。

あ、あった。

俺は、その何かをテーブルに広げる。


「この葉っぱは何?」

「や、薬草・・とのことだ。」

「ふ~ん、この世界に薬草なんてあったんだ。でどう使ったらいいの?」


その時、全裸の男と全裸の女が食堂に入って、俺達の隣のテーブルにつく。

こいつらは、さっき襲われていたけど、ダメージを受けていなかった奴らだと気づく。

コロンは、二人に「服でも着てきなさいよぉ」と笑って二人に話し掛ける。

二人は、そのコロンの顔を見て、すぐに椅子をたとうとするが、俺たちのテーブルにある薬草にきづく。


「そ、それは薬草か。」

「・・・・・久しぶり。」


二人は、俺達のテーブルの薬草を手に取り、昔を思い出してるかのように目を閉じている。


「あ、アルフィさんとレアンさんが久しぶりに喋った!?」

「・・・・怪我をしたの?」


コロンは驚いていると、レアンと呼ばれた女性・・・裸なので目のやり場に困るが。

レアンは、薬草をコロンの右足に擦り付ける。


「あ・・・い、痛みが薄れた・・気がする。」


レアンはニコっと笑い、アルフィと共に食堂を出て行く。


「さてと、話を戻すね。・・・で私の能力なんだけど『テレポーター』なの。」

「さっきの戦いでは使ってなかったようだが。

「・・・使えないのよ。大きな術式を使っていてね。」

「大きな術式?」

「そう。私は契約を結んだ相手を自分の好きな場所に飛ばすこともできるの。それでこの町の人達全員と契約を結んでおり・・・町人が死んだら、この町の教会に飛ぶように設定しているの。」

「そんなことできるのか。」

「まあレベル45にもなればね・・・。」


俺は自分のレベルを確認する。


空 大地   レベル:51  専用武器:魔法剣  職業:超能力者

特殊能力:サイコキネシス 空間制御 透視 浮遊 テレパシー


いつの間にか俺はコロンを上回っていたようだ。

そして、コロンの話はまだ続いていた。

俺はその話に割り込むように・・・


「でも、この町で復活したら、またすぐ殺されるんじゃないのか?」

「そこがネックなの。

 その為、私は、大きな術式を使っているの。

 ・・・・私が死んだら、町ごと何処か別の場所にランダムで飛ぶことに。

 その為、他の事に使うMPが足りないの。」

「それでお前は町の人を護るために、自分の身を犠牲にしているのか。」

「・・・犠牲にしてるわけじゃないわ。保険みたいなもの・・・のつもりだった。

 でも、・・・・最近・・・・罠にはめられ・・・。」


コロンは顔を下に向け、顔から大粒の涙が零れ落ちるのが、見える。

俺は、コロンに「辛かったな。」と言う。

コロンは俺の顔を見て、俺の胸に飛び込んでくる。


それから数十分、コロンは泣き続けた。








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