第15話:オルグとの衝突
「シズカあああああああああ、この男はだれだああああああ」
「え?私の彼だけど・・・。」
「「え?」」
一瞬沈黙する。
「シズカアアアアアアアアアア!」
「お前の相手はこの俺だ!」
「誰だああ、お前は!!!」
オルグと呼ばれていた男は、大剣を頭の上で両手で回しながら俺に近づいてくる。
俺は、オルグの殺気を感じつつ、腰につけているソウルイーターを抜き、右手で構える。
確か・・・重力を使ってくるんだったな・・・。
俺は左手で空気の弾をオルグの胴体に向け、放つ。
オルグは空気の弾が出す音に気づいて、左側に飛んで避ける。
避けられた空気の弾は、オルグの後ろにいた建物を吹き飛ばす。
俺は舌打ちをし、オルグが避けた方向に向かって、再度空気の弾を放つ。
オルグは待たしても、左側に飛んで避ける。
・・・・飛んで避けるスピードを見ても、シズカ並のスピードはありそうだと直感で感じる。
俺の額から汗が零れ落ちる。
ちぃ・・・緊張してるのか・・・。
オルグは、頭の上で回していた大剣を止め、
「さあ、準備運動は終わりでいいよなぁ~。」
オルグは右手で大剣の柄を握り、右肩にかけ、左手を俺に向けて・・・
来る!!
俺は、直感で感じ、右側に転がって避ける。
するとそこには小さなクレーターが出来ていた。
「避けた?・・・・ってことは一度この技を食らったことがあるのか。」
「まだ思い出さないみたいだな・・・。」
俺は、オルグの後ろにある建物の瓦礫をサイコキネシスで操り、オルグの背後から襲わせる。
オルグは気づいていなかったのかまともに背中に受ける。
「ぐおおおおっつ、な、・・・瓦礫だと・・・。」
瓦礫がオルグの背中を強打し、鎧を木っ端微塵にする、オルグはその衝撃で膝を付いたが、背中には傷を負っていない。なんて、防御力だ・・・。だが、今オルグは膝を突いている。ここがチャンスだろ!
俺は左手をオルグに向け、空気の弾を放つ!
オルグは膝を突いたまま、大剣を上段から振り下ろし、空気の弾を真っ二つにする。
・・・・見えない攻撃を真っ二つにするなんて・・・・化け物だろ。
「俺に膝を付かすなんてやるじゃないか・・・お前ぇ!」
「・・・・・防御しないからよく膝ついてるじゃない・・・。」
「し、シズカは黙ってろ!」
シズカに突っ込まれたオルグは、顔を赤くしてそう答える。
そして、大剣を俺目掛けて投げてきた。
ちぃ・・・早い!・・・・だがぁ!!
俺はサイコキネシスでその大剣をオルグに返そうとするが・・・
サイコキネシスを放っているのにも拘らず、大剣は停止することなく、俺に向かって飛んでくる。
俺は無意識に右手のソウルイーターで大剣をはじく・・・。
俺の右手が少し痺れた。
な、なんて馬鹿力なんだ・・・。
俺は一歩後ろに跳んで距離を取ろうとする。
その時、オルグの右手にはあの・・・三又の槍を槍投げのように投げようとしていた。
しまったああああああああああ!
ドス
俺の腹に、オルグの専用武器である三又の槍が突き刺さる。
だ・・・・だが、まだだ!!!
俺は、周辺一体の瓦礫をサイコキネシスで操り、
「な、なんだ・・・・瓦礫達がういてやがる・・・。」
そして、オルグ目掛けて一斉射撃する。
「なんだとぉぉぉぉ!こんなもので俺がやられるかぁあああああああああ!」
オルグは正面の瓦礫達を重力で下に押しつぶし始めたが、365℃飛んでくる瓦礫たちに反応しきれずに次々とオルグの体に衝突していく。そして、オルグがいた位置は瓦礫の山となった。
「ハアハア・・・どうだぁ・・・。いくらお前でもこれで・・・。」
その時、ドーンと瓦礫の山が吹き飛ぶ。中央から裸のオルグが立っている。
「調子に乗るなああああああああああああ、若造がぁあああ!」
オルグは俺の腹に刺した槍を消し、自分の右手に再召喚する。
俺もヨロヨロと立ち上がり、魔法剣を召還し、左手で柄を握る。右手にはソウルイーター。
「さあ、第二ラウンドといこうじゃないか・・・。」
二刀流を使うことになるとはな・・・
三ヶ月・・・・・俺がただやられてただけだと思うなよ・・・。