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リース機械の定期メンテにまつわるエトセトラ

作者: 草月叶弥

「お疲れさまです!!○×○×です!!」


会社が貸し出してる機械の3ヶ月に一回の定期メンテナンスの日。

事前に電話で打ち合わせをした通りの日付と時間に到着した僕は明るく元気に爽やかに!!をモットーに挨拶をした。

事務員さんに工場に連絡をしてもらい、昼休憩に入ってシンとした作業場に入る。


「お疲れさまです」


作業場では髪を全て白い帽子中にしまい、白い作業服に口元はマスクで隠した女性が二人待っていた。


「お疲れさまです。休憩は13時半までですのでそれまでにお願いしますね~」

「…お疲れさまです」


唯一見えている目を緩ませてゆったり喋る女性はこの工場の主任である坂口さん。

優しくおっとりした雰囲気だがいざ作業に入ると誰よりも早く丁寧で正確に仕事をこなすらしい。

そして、その隣に立っているのが次のリーダ候補の結城さん。

口数は少ないけれどその指示は的確で、バイトの子達の一部は「お姉さま」と影で呼んでいるとかいないとか。


「了解しました。お二人はどうされますか?」

「私たちは先に休憩を取ったので点検してる間に在庫整理をやります」

「分かりました」

「何かあったら聞きに来て下さいね~」


にこり。と笑う坂口さんとふいっ。と顔を背けてしまった結城さんに軽く頭を下げてから作業を始める。

工場内には僕が機械をチェックする音と、二人の在庫をカウントする声だけが響いていた。


『あ、また……』


ふいに視線を感じで辺りを見渡すが工場内には僕と女性二人しかいないし、その二人もこちらを見てる様子はない。

最近……といってもここ2~3回のことだか点検中に視線を感じる気がするのだ。そのたびに周りを見渡すのだが誰かに見られている様子はないし、僕の中では“工場に住み着いた霊が見たことの無い男(僕)を観察しているのではないか”ということになっている。

ちなみに会社の同僚に飲んでいるときに話したら爆笑されたのでそれからは誰にも話していない。


“そろそろ慣れてくれてもいいんじゃないかなぁ~”


そうは思うが相手は霊だし記憶力とか色々あるだろうから仕方ないかな。とは思っている。


そんな感じで作業を無事に終えると、二人に簡単な説明と問題は無かったことを伝えて作業は終了だ。


「ありがとうございました!ではまた3ヶ月後に伺いますね」


点検終了の署名を貰って声をかけると、坂口さんと結城さんにお辞儀をして作業場を後にする。


するんだけど……


「………………」

「…………?」


まただ、また結城さんに睨まれてしまった気がする。

幽霊を感じ取れるなったのと同じ時期から終了報告の際に結城さんに睨まれてしまっている気がするのだ。

まぁ、彼女の目元しか見えてないし気のせいかも知れないんだけど。目が悪いのかもしれないし。


何となく居心地が悪くてそそくさと退出すると「お疲れさまでした」と結城さんの小さな声が作業場に響いた。


「お疲れさまでした!!」


嫌われてるのかな?なんて少し心配になってきていたので声をかけて貰えたことに嬉しくなってつい大声で返事をしてしまう。

ぐわーん。と稼働を始めた機械の音と、坂口さんのくすくす笑いに見送られて、僕は作業場を後にした。


今日は良いこともあったし、一日頑張ろう!!!


そんなことを思ってたのが約一年前。


視線の主が結城さんで彼女が僕のことを好きで睨んでたんではなくて見つめてたんだということが発覚するのは、次の点検で。


なんやかんやあったあげくにお友だちとして二人でご飯食べに行けるくらいになってます。

付き合うとか無理です!!だって作業服脱いだ彼女が可愛すぎて無理です!!無理ですって!!!ぎゃーーーーーーー!!!!



(本人強制退場のため、続きは読んだ方にお任せいたします!)

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