あるバイト の
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国道4号線を北上する黒○マークの委託契約の10トントラック、渋滞する都内を抜け埼玉から栃木県に入り夜間と言う事もあり平均七十キロ位で巡航し普段なら運転手にも余裕がでてくるのだが。
今日の彼は……
なんだこれ?アクセルが軽すぎる……レスポンスが良すぎないか?荷物を積んで無いみたいだ。
箱のリアの観音扉が壊れて開いて荷物を落としてしまったのかと思って路肩に停めて確認したばかりだしな……
空車みたいにフワフワして落ち着かない……トラックはもっと重量感があって空気を引き裂く感じで走るから気持ちいいのに、今日のこの車軽くて気持ち悪いな。
「駄目だコンビニで一旦休憩しようそろそろ三時間だしな。」
宇都宮手前のコンビニにトラックを停めて、もう一度箱の中を確認する小森。
「やっぱりなんともない、荷物を積む込む時は結構な重量だったと思ったんだが……そういえばエンジンをかけたらいきなり軽くなったよな……」
疲れてるのかもな……体感がおかしくなってるのか、とにかく岩手までユックリ行こう遅刻はともかく事故は厳禁だからな。
六時間後、盛岡営業所で荷物を降ろして帰り荷を積む夜便まで休憩するため滝沢のガソリンスタンドに入った。
「は?満タンでこれだけ、満タンに入ったんだよね。」
「ええ、機械が止まってから手動で満タンにしましたから、間違いなく満タンですよ。」
「そ、そうかありがとう。」
おかしいな?いつもより三十リッターは入ってない……エンジンは調子良く回ってるからもっと燃費が悪くなってるのかと思ったんだが。
まあいい、さっきのと受領書と一緒にメールで会社に報告しよう。
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会社に出勤して、パソコンを立ち上げ昨日の結果を確認する社長
「さて、どうなったかなって………」
「ウエ!片道でこの燃費!三十リッターだから今軽油が○○円だからエエエ!!!約月十万は浮く計算だよ。」
「年間百万二十万……三台で少なくても三百万超える……ほ、ほ、本物だー!」
スゴき、いや凄いこれなら借金返済して来年には新車のローンが組めるぞ!
「こうしちゃおれん、すぐに今日戻ってくる他の二台にも付けないと……って駐車場で寝てる時間だなよし!直ぐ付けよう。」