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第十章「対峙」ー4

ん、鳥居の下に・・・。

「先ほどのは少々痛かったですわよ・・・もう終わりにいたしますわ!」

 黒いローブがボロボロになっているフェルシーナがそこにいた。

 持っている魔力を全力解放するつもりだ。彼女の強さからしたら神社に貼ってある結界は吹き飛ばされて被害はここだけでは済まされそうにない。

 何か手はないか・・・。

 僕にはもうほとんど力が残っていない。

 万事休す・・・。そんな言葉が頭をよぎる。

 僕は剣を構え直し、フェルシーナへ向かって切りかかろうとしたその時、

「もうおやめなさい!」

 澄んだ声が境内に響き渡る。

 福田さんが間に割り込んできた。

「もうおよしなさい。憎しみで戦うのも、後ろめたさを持ったまま戦うのも・・・」

 福田さんの言葉はいつものそれと違っていた。

 彼女はフェルシーナの方へゆっくりと進んでいく。

「福田さん!危ないから離れて!」

「優雅君、私は申し上げました。およしなさいと・・・」

「でも・・・」

 静止を無視してフェルシーナへ近づいていく福田さん。

 彼女の背中を見ていると何かいつもと違う慈愛に満ちた神々しさを感じる。

 フェルシーナもそれを感じてるのか、戸惑いの表情を隠せない。

「お前・・・これ以上近づくと・・・」

「本当はやりたくないのでしょう?本当は誰かに愛されたいのでしょう?」

「お前、いきなり何を・・・」

「操られていた時に感じました。あなたの本当の欲しているのは愛されたいという思い。寂しかったのですね。今まで・・・」

「なっ!私は、ただ復讐のため・・・」

「でも、それは愛されたいがための行動でしょう?わたくしではだめですか?」

 福田さんとフェルシーナの距離は手の届くところまで来ている。

 その光景を僕もクロノも伊莉栖もみんなが見守っている。まるで動けない石造の様に固まったまま。

 一瞬さっきまでのざわついた空気が和らいだ気がした。

 福田さんは・・・フェルシーナを愛しむ様に抱きしめた 。

「わたくしと一緒にいてくれませんか?これから楽しい事、うれしい事、悲しい事たくさんの出来事を一緒に・・・。わたくしではだめですか?」

 すると、堰を切ったかのようにフェルシーナが泣き始めた。

「これからは一緒に・・・」

 まるで聖母を彷彿とさせる光景だった。

 それからしばらくフェルシーナは福田さんの胸で泣き続けていた。

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