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第九章「・・・ったくうちの使い魔は」-2

夕食の支度をするため二人でスーパーに寄ってからの帰り道。普通の女の子とだったらどれだけ充実した青春なんだろう・・・と思うけれど、なかなかそうもならない。

 でも、夕日をバックに並んで歩く光景は事情を知らない人から見たらリア充に見えるんだろうなぁ。

「あれ・・・?家の前に誰かいるよ?」

 クロノは家の方を指さす。

 目を凝らしているが見えない。

「クロノってすごいな。僕には何とも」

「偉い?褒めて褒めて!」

「いつかね・・・。にしても誰だ・・・」

 先日の件があったので、クロノの言葉に対してあまりいい感触は感じなかった。

 自然と歩幅が小さくなる。

 嫌な予感は大抵当たる。誰かも言っていたけど、自宅が大きく見えるにつれて嫌な予感も大きくなっていく。

「だれだろね。ユウ・・・?」

「クロノ・・・注意しておいて」

「なんで?」

「何となくだけど、良くない気がする」

 左腕のミラージュブレスへ少し力を入れる。仄かに光を放っているだろうそれは、ブレザー越しには見えない。


「どなたですか?僕の家の前で何を―――」

 家の前に立つ流れる絹糸の様な光を放つ長いブロンドの女性に声を掛けた。

「あら?賀茂様?」

 こちらを振り返ってにこやかに答えてくれた。

 先日聞いた声の人とは違うのか、声のトーンが明らかに違う。明るい。

「はい。で、なにか用でしょうか?」

「じゃあ、こちらが賀茂様のお宅という事ですね?」

 ん?

「はい、そうですけど」

「やった!やっと見つかったわ!」

 なんかすごいはしゃいでいるんですけど・・・。知らない人が僕の家の目の前ですげぇはしゃいでますよ。

 あの時の人か・・・?

 相手に見えない様に左のこぶしに力を入れる。直観だが、この女性は「フェルシーナ」で、きっと僕を襲いに来たんだろうと・・・。

「あの・・・師匠の友達ですか?」

 クロノが空気を読まないような発言を女性に投げる。

「えっ?師匠?」

「はい。英雄様の事です。ちがうんですか?」

「そうね・・・。親しい間柄ですわ」

「そうですか!じゃあ、上がっていきませんか?夕飯は人が多い方がいいよね?ユウ?」

「はぁ?まぁ・・・そうしようかしらね。フフッ」

 目の前に敵対しているだろう相手がいるのに何とも楽天的な奴だ。クロノは・・・。

「ウフフ・・・面白い方ですのね?お名前は?」

「クロノです!」

「クロノちゃんね。面白い子ね」

 クロノはそれを聞いてうれしそうに玄関を開け招き入れようとする。

 その行動に僕が唖然として動けなくなっているとブロンドの女性が近づいてくる。

「そんなに硬くならなくてもよろしくってよ。今日は何もしませんから・・・」

 やっぱりフェルシーナだ。

「あ、あなたは何をしに来たのですか?」

 その問いを彼女はさらっと流し「それより夕ご飯にしましょう!私も手伝うわ」とクロノに告げ、入っていくのかと思いきや僕の方を向き直り「毒なんか仕込みませんから安心してくださいな」と囁いて入って行った。

 あの人がこうも堂々と懐に飛び込んでくるとは思ってもいなかった。

 ただ、「今日、今は」何もしないという事なんだろうけど・・・。

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