第九章「・・・ったくうちの使い魔は」-1
「賀茂く~~ん!めっです!」
遠くからハムちゃん先生の声が聞こえてきたと思ったら頭に何か尖ったものがぶつかってきた気がした。
机の上には折れた白いチョークが転がっている。寝てたかぁ。にしても、小学生に間違われてしまう程の風貌とは対照的に一直線で僕の頭にぶつけるんだから相当のコントロールの良さだ。
「賀茂君!先生は悲しいです。授業が退屈でしたか?」
目に涙をためながら僕の方に近づいてくる。
実際寝ていたのだから悪いことをしていたんだけど、それ以上に罪悪感を感じるのはやはり先生の姿がそうさせている。ちびっ子をいじめて泣かせているシチュエーションになっているよ。
「すみません・・・寝不足で・・・」
巡回のシフトが響いてきているんだから、という説明はできないんですがね。
「夜な夜な良くないことをしているんですか?先生はそんな子に育てた覚えはありません!」
僕としてもまだ一か月も経っていないのに育てられた覚えもないのだけど・・・。
「すみません・・・。注意しますんで勘弁してください・・・」
折れたほうがこういう場合は勝ちだ。
「めっですよ!では、授業に戻ります・・・では賀茂君、読んで」
「どこからでしょうか・・・?」
分かるわけないでしょ、夢の中だったんだし。
「賀茂く~~ん!聞いていたんですか?」
「いや、寝てました!」
「先生は悲しいです・・・先生は―――」
さっきの繰り返しが始まりました・・・。
泣きたい気持ちでいっぱいだよ。
あいつはどうなんだ?
使い魔として一緒に行動しているはずのクロノを見ると・・・。
まぁ、あいつも寝てるわ・・・ね。
それも涎垂らして幸せそうに・・・。なんで僕だけという気持ちはもちろんある。だけど、だけど、言い返したら負けな気がする。
すでに負けているか。
授業が終わるとクロノが意気揚々と僕の机にやってきて一言、
「ユウは寝すぎだよ。ダメダメだね」
棚に上げてきましたよ・・・。ったく。
「お前が言うな!クロノだって爆睡してただろ!体調悪いとか言って保健室も行っていたし・・・。どうせサボってたんだろ?」
「えへッ。ばれた?」
「ばれるわ。大体何しているか契約でわかるんだから・・・世渡りうまいなぁ」
皮肉たっぷりにクロノに言葉をぶつける。
「そんなことないよぉ~。ユウが下手なだけ!使い魔をいつも監視なんて・・・意外と束縛するタイプなんだねぇ・・・」
曲解すぎるよ・・・うちの使い魔は・・・。どこでそんなこと覚えたんだ?




