第八章「狙われてる・・・やっぱり?」ー7
「すまん、興奮しすぎた・・・。そうか・・・」
真向いに座っている真琴さんはそう言うとパイプを咥えて火をつける。すると、すぐさまむせた。それなら吸わなきゃいいのに・・・。もしかしたら格好だけなのかもしれない。
深刻なのかどうなのかわからない。
「どうすればいいでしょうか」
「フェルたんの事だしな。協会は殲滅しようと戦力を送っているんだがな・・・なかなかどうもいいところで逃げられて・・・タチが悪い」
「あの・・・フェル・・・さんってどんな人なんですか?」
「う~ん。まず言えることは過度な英雄スキーかな。息子のお前を目の前にしていうのはちと引けるが―――」
「親父の事が好きだったんですか!」
「あっ、でも使い魔の一方通行の愛情だな。英雄の性格が当時の魔法少女どもと反りがあわなくてな。常に単独で敵に突っ込んでいった。生傷の絶えない魔法少女だったんだ。英雄は・・・」
「はぁ」
「で、見かねた協会から一体の使い魔候補を送り込んだ。それがフェルシーナ。元々はオオカミだ。だが、協会からの手助けを英雄は撥ねつけた」
「なんでですか?」
「知るかそんなこと。協会の方は顕現させたフェルシーナをどうするか悩みに悩んだ。結論としては、フェルシーナを封印することに決めた。ただなぁ、あいつ相当暴れてなぁ。協会もけが人続出で手を焼いたぞ。」
「そんなにですか」
「あぁ~、英雄と行動ができるよう強い魔力を持った奴だったからな。フェルシーナは」
「でも、なんでフェルシーナは嫌がったんでしょうか。」
「魅せられたんだとよ。英雄の振舞に傍若無人、唯我独尊の雰囲気にな」
「まじっすか・・・」
「あぁ、まじっす」
真琴さんは力強くうなずいた。
まぁ、父さんの豪胆な性格として他の魔法少女とうまくやれないのはわかる。でも、使い魔の供給を拒否する父さんか。本当に空気を読まないな。
あの親を見ているからだろう、僕は「ああいう人にはなるまい」と反面教師にして周りと足並みをそろえようと努力しているのだから・・・。にしても真琴さんも結構灰汁が強い人だと思うんだけどなぁ。
「なに、いっちょまえに顎に手をかざしながら考えているんだ?お前は探偵か?」
「そうじゃないですよ。父さんの魔法少女時代の行動がどうだったのか考えていただけですよ―――」
「あぁ~。英雄はほんとひどかったな。単独で、悪霊の巣へ飛び込んでは木端微塵にしていった。他の魔法少女から『デストロイヤー賀茂』とか言われていたな」
「どこか弱小団体のプロレスラーっぽい名前ですね」
父さん・・・。でも、あの人ならあり得る話だな。
「そうだな!やつはな、ちぎっては捨て、ちぎっては捨て・・・逃げる悪霊どもを一つ一つひねりつぶす様に消していく・・・無慈悲なものだったよ。魔法少女というよりバーサーカーだな。まぁ、男で魔法少女だから『イレギュラー』という意味ではお前も一緒だ」
「はぁ・・・。はっ、父さんの話じゃなくて、フェルさんの―――」
「お?おぅ、お前もそういうところは親父に似たんだな。話を逸らせるのがうまい!」
「全然褒められてないですよ・・・」
「そうか?うれしくないか?」
「うれしくないです。話を戻しましょう・・・」
「そういう冷静なところは親父似じゃないな・・・そうだな―――」
まだまだ昔話は父さんの魔法少女伝説は尽きる様子はない。
偉大な父を持った業なんだろうか。延々と続いていくような気がして、オフィスの天井を仰ぎ見た。
はぁ・・・。
なんか色々つかれた・・・」
トボトボ外へ通じる階段を下りながら僕はつぶやいた。
そりゃあ、つぶやきたくなりますよ。
結局真琴さんに4時間捕まってしまった。聞きたい情報の他に、「あそこのケーキがうまいだの」「あのゲームは課金ゲーだ!けしからん!」とか・・・脱線すること何度だろう・・・。それだけでも疲れるのになぁ。
ただ、今日は見回りが入っていたが、真琴さんがそこは「気を利かせてくれて」免除になったのが唯一の救いなのかな。そうでもしないと割りにあわないか・・・。




