第八章「狙われてる・・・やっぱり?」-5
「うがぁ・・・僕にこんなことをするのは・・・」
体全体が大きな岩につぶされているかのような圧迫感から抜け出せないでいる。
「あら、ごめんなさい。これでもやさしくしている方よ。本気ならもっと激しいことをしてあげられるのに・・・ごめんなさいね。でも、前にあった時はもっと荒々しかった気がしますのに。」
激しいって・・・骨がきしむ音がしているのにこれ以上激しいって言ったらどうなっちゃうんだよ。
「あら、今期待しましたね?ウフフ・・・賀茂様・・・可愛いっ」
声の主は僕を知っている?僕を伏せさせたまま言葉をつづける。
「これは復讐よ。ごめんなさいね。ずいぶん放っておかれたもの。だからあなたの大切なものなら全部ね壊しちゃっていいかしら?これって・・・もしかして嫉妬?」
「さ、さあ・・・。とりあえず無実の罪でこんな罰を受けている僕をどうにかしてくれないかな」
「無実って、とんだ忘れんぼですわね。でも、今回は挨拶しに来ただけですわ」
「文脈がつながっていないです・・・も、もしかしてあなたは・・・」
「私の名前は、フェルシーナ。フェルたんと呼んでくださいな」
嫌な予感は大抵的中するものだ。気を付けろという本人のお出ましだったわけか。にしても自称でフェルたんって結構「痛い人」なのかも・・・だがそんなことを考えている余裕はない。見えない重りに体ごと押さえつけられている感覚が続いている。
「今回はこれくらいにしておきますわ。それではごきげんよう」
彼女のハイヒールが回れ右をし、次第にカツカツという歩く音が遠くなりやがて消えた。それと共に、僕の上に乗っかっている重さは感じなくなった。
「フェルシーナ・・・」
床にあぐらをかいて落ち着くためにふぅと一息ため息をつく。
すると、勝がランニングシャツで教室に入ってきた。
「ユ、ユウ。お前そんなところで何しているんだ?」
「なにって・・・これから帰るところ?」
何もないところであぐらで座っているんだがから変な人に見られても仕方ないか。でも、見られたのが勝でよかった。
彼も、一瞬僕の動きに疑問を感じたように見えたのだが、別様で戻ってきたらしい。
僕を一瞥すると机をまさぐっている。探し物は見つかったみたいだ。
相変わらずあぐらをかいている僕に向かってある種の同情を含めて彼は言った。
「なんか・・・付き合ってあげられなくてごめんな。今度良いブツをまた貸してやるよ」
「いや、そんなんじゃないから・・・」
「まぁいいや。こっちは忙しいから。じゃな・・・」
「おう・・・」
誤解は確定しているただ周りを巻き込むのは嫌だな。とりあえず、真琴さんに今回の件を報告する必要ある・・・。
僕は立ち上がり事務所へと一目散に向かった。




