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第七章「ばれちゃいました」-3

 福田さんは大将の首を取ったとばかりに胸を張る。

「やっぱり!」

「あはは・・・ごめん。」

 もう笑うしかないな・・・。はぁ・・・。

「ちょっと離れてて・・・霊装解除・・・っと」

 ブレザー姿に戻るとまたもや思いっきり手を握り絞めてくる。

「さっき助けてくれたのは優雅君なんですよね?それに、襲われたとき空がパーって明るくなって光がふってきたの。それも・・・だよね?」

 興奮状態なのか、力が半端なく強い。

 福田さんが視えることを忘れていた。失態だった。

「まぁ~・・・そだね」

 完全白旗なんで、もう隠しても無駄だなぁ。

「それに、今朝話していた魔女も優雅君だよね?」

「へっ?」

「だから、私が去年襲われたところを助けてくれたって話!」

「あぁ~そうだっけ?」

「絶対そう!だってさっきの格好と同じだったもん」

 相当脳裏にやきついていたのだろう。断定されると否定できない。 

 それも僕ですので・・・。

「そ、そうだね・・・黙っててごめんね」

「ううん。あの時はありがとう。それに今回も・・・」

「たまたまでしょ」

「そうなの?でも、かっこよかった!」

「へっ?」

「ピンチになったら助けてくれる、王子様っぽかった」

「そんなことはないでしょ。この格好は―――」

「そうだよ!優雅君は私にとってそういう人なの!」

「わかった!わかったから・・・手・・・放してくれる?」

「あっ、私、夢中で」

 握られていた手が微妙にうっ血して赤くなっている。どれだけの強さで握られていたのかわかる。

「あの、ごめん。こちらからお願いなんだけど・・・」

「うん!」

「このことは・・・秘密にしてもらえないかな?」

「このこと?」

「その・・・僕が―――」

「魔女だってことね!」

「正確に言うと魔法少女なんだよね。色々突っ込みどころあると思うけど、黙っててほしいんだ」

「えぇ~~。どうしようっかなぁ~」

「そんな・・・ひどい―――」

「冗談ですよ。命の恩人だもん。優雅君は。その代わり・・・」

「代わり?なに?」

「私も一度飛んでみたいの。空からの風景を見てみたい!優雅君はいつでも見れるんでしょ?それはずるいよ」

「ずるいって・・・。わかったよ。それでいいなら」

「ほんと?やった!」

「でも、本当に黙っていてくださいね。面倒なんで」

「うん。黙っておきます!優雅君と私の二人だけの秘密です」

 ん?二人だけの秘密・・・?

 なんかそこにすごい違和感があるけど・・・まぁいいか。流しておこう。

 とりあえずこの場から去りたい。いや、消え去りたい気持ちでいっぱいだ。帰ろう!僕は平静を装ってブレザーの襟を正して福田さんに向きなおり、

「さて、とりあえず僕は帰るね。そこで倒れている人はしばらくすると気が付くからそのままにしておいてくれるとうれしいです。じゃあ―――」

 さらばという感じで帰ろうとする。

 ただ、福田さんはどこか疑問でもあるのだろうか、どこか期待しているのか僕の方をキラキラした一直線のまなざしを向け質問を繰り出す。

「優雅君どうやって帰るの?」

 なに?霊装になれと・・・?そんな気分じゃ・・・。

「どうやってって、徒歩で・・・」

「箒には乗らないの?」

 やっぱり・・・でもなぁ、腕を組み考えた風な態度だけとってみるが、結論としては決まっている。

「色々思うところもあるので・・・それに歩いて帰りたい気分・・・」

「そ、そう―――見れると思ったのになぁ」 

 福田さんはしゅんとして残念そうにしている。目がもう一度見たいと訴えているのが分かるが今の僕にその期待に応えることは到底できない。完全にへこたれているし、ばれているのが真琴さんに知られるとどんなことを言われるかわからないし・・・。

 しれっと帰ることもできないので、穏便に帰ろう。

僕はそう思い、至極普通に「じゃあ・・・また来週。気を付けてね」と彼女に一言抜け殻のような声で声を掛けた。

 すると彼女は「うん!じゃあ来週ね!」と 彼女は大きく手を振って僕を見送ってくれた。素直な人で良かった。心底思う。

 箒を片手に境内を下りるところでバサッという羽音が境内の屋根から聞こえた。

 クロノめ、ずっと黙って聞いていたな・・・。

「優雅君!ありがとう~!また来週ね~!」

 境内のある階段の上から大声で僕に声を掛けてくれる。

 そんな大きな声出さなくても・・・こっちがはずかしいし。

 もう一度神社の方を向くとそこにはまだ福田さんが立って手を振ってくれている。

 はぁ・・・面倒事が増えたなぁ。

 肩を落として力なく家路へトボトボ歩いていく。

 何もかも忘れてどこか遠くへ行きたい気分だ。

 唯一の救いが土日を挟むことくらいか。

 今日の明日で福田さんにどんな顔をすればいいのかわからないしちょうどいいのかもしれないなぁ。

 

 家に到着すると、境内で隠れていたクロノがむすっとした表情で玄関に立って待っていた。なんかやけに機嫌が悪いのが気になるが、問い詰める気にもならないや。ばれちゃったし・・・。

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