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襲撃の日

みじけぇしだらしねぇ……これから頑張ります……

さてさて、気がついたら15歳になってしま…正確にはまだ14だ。そんでお別れ会と誕生日会とやらをする予定だったんだが……


「盗賊団がきたぞぉ!!あと5分で到着する!一般市民はギルドや町役場に避難しろ!ギルド員の緊急戦闘班は戦闘に備え、準備をしろ!魔法の使用許可は国から出ている!思う存分やってくれ!」


テンプレだな……テンプレ過ぎて話にならん。なぜこうなったんだっけか?いや、回想もなにも今来たんだった。俺はギルド員ではあるが、緊急戦闘班ではないから冒険者ギルドで避難してきた人の面倒を見れば言い訳だが……


「……気に食わないな。お父さん、一緒に行ってもいい?」


「危険なのは承知か?いや、これから旅に出るなら……少しは学んだほうが良いかもしれないな。人を殺したあとの気持ちも。」


なぜ殺すこと限定?あ、盗賊に人権はないと。ここ主権は王にあるんだけど……殺し、ねぇ。


「殺したくはないけど……頑張るから連れてってくれよ、お父さん」


映像を見るのは構わないが、自分で殺ってしまってはいけないだろう?カッコつけてる場合じゃなな、あの服を中に着て行かないと。


「3分で支度しろ。お母さん、避難場所はどこにする?」


「町役場にいくようにするわ」


「分かった。3分たったら即移動だ」


取りあえず自室に戻り、あの黒い服を中に着て、それからもし切られたりした場合のための厚い革でできたコートを羽織って、盗賊達に目をつけられないようにフードをしっかりかぶり、準備万端だ!あとは護身用に持ってるナイフを腰にセットして家の倉庫の剣を取ればよし!


「終わったか?ほらっ!行くぞ」


抜き身の剣をこちらにそのまま渡すのは危ないと思うから勘弁してほ……待ってくれないのね、はいはい。


「教えた通りの使い方をしろよ?」


俺とお父さんはそのまま町の門まで走った。







着いた先にはあまり常人が見るようなものではない光景が広がっていた。門の向こう側には焼け爛れたり、岩に突き刺さっていたり、体中傷だらけだったりと散々な盗賊達の死体があった。門には切られたギルド員が横たわっていたり、鈍器で殴られ、頭が陥没しているギルド員なんかもいた。右の方で声が聞こえる。まだ生きているのだろう。


「痛い……助けてくれ……死にそうだ…」


……あまりいいものではない。逃げ出したい、このまま家に居てもいいんじゃないか、などと負の感情が溢れ出てくる。同時に吐き気がやってくるが、嘔吐までには至らず、胸と胃がモヤモヤした不安な状態で嫌になる。


「これが、現実だ。覚えておけ」


「……分かっている。分かっていたつもりだった。けど、少し辛い」


「当たり前だ。お前はすぐにでも人を殺せるし、すぐに殺される。だから決して、家を出る前のようなくだらないと言いたげな顔はするな」


「うん、もう、しない」


「……だがな、殺さなきゃいけない時もあるんだ。そうなったら殺してしまったあとに、自分の罪をわかろうとすればいい」


「言ってることが、よくわからないよ」


「俺だって、わからないのさ。ただ、自分を信じて歩いていけ」


納得はまだ、していない。ただ、気持ちは軽くなった。今は多分、殺さなきゃいけないとき。国の法律で決まっていることでもあるし、自分を守ることでもある。今は、殺るしかない。


「東門に奇襲、大至急排除を!」


「分かった、行くぞライ!」


「ああ、ああ!行こうお父さん!」


お母さんや、町の人を守るためにも、今は、それだけを考えよう。







東門に着いた。あたりにはほのかに異臭がし、門ではまだ戦闘が起こっていた。


「悪しきものに罰を、ファイアストリーム!」


お父さんがそう唱えると、門の周りにいた、革の鎧を着ている盗賊達が炎の渦に焼かれていった。俺が呆然としていると、後ろから足あとが聞こえ……?


「うるぅあ!死ねぇ!」


「こっちだって死ねるものか!」


足あとに気付けてよかった……何とか腰のナイフを抜き、不意打ちは防ぐことはできた。……それであってもこの恐怖心はちっとも薄れてはくれない……


「っく!うらぁぁ!」


「っぐ、ぐぐぐ……」


手元を繰り返し狙って攻撃を仕掛けて武器を弾こうとするが、力が違いすぎる……駄目だ、相手の目が俺の心を潰すような目だ!できるだけ早くしないと、持たない!


「こんな小僧くらいぃ!」


剣を振りかざしながら跳び、盗賊が俺の胸元に剣先を合わせる。俺はその狙いから一旦外れるため、体を右に捻り、相手が俺のいた場所を突いたあと、持っているナイフで相手の腕を刺す。筋肉に刺さったのか、かなり深く入ったのか、よく、分からない。


「うがぁぁぁぁ!!あ、あ、て、てめぇ、ぶっ殺してやる!!」


盗賊は使えなくなった右腕の剣を左手に持ち替え、斬りかかってきた。右腕を刺したナイフは抜けなかったが、盗賊が攻撃する前に離れることができた。急いで渡された剣を抜き、盗賊に構える。盗賊は挙動不審な動きでこちらに近づいてくるが、先程よりも動きが単純で早い。


「死ね!死ね!死ねぇぇ!!」


「っつ!大人げないんだよ!大人しく倒れてろ!」


盗賊の連撃を防いでいたが、獣に近くなった盗賊の動きを読めず、頬に切り傷を作ってしまった。が、それだけならまだいいほうだ。気にしている暇はない。疲労がたまったのか、隙だらけの攻撃は簡単に受け止めることができた。


「はぁ……はがぁ…殺す……俺たちが……生きる、ために!」


恐らく、残された最後の力を振り絞った一撃。その一撃には、どんな思いが込められたのか、それは分からない。だけど、どんな一撃よりも重く感じた。


「……俺はあんたらがどんなことをしたかは分かるが、何をされたかは分からない。だから、死んでやることもできない」


俺はとんだアホだったらしい。前世で言っていた言葉は全て撤回だ。何が、感受性だ。そんなもの、関係ない。あるのは人の死と言う事実と、その罪だけじゃないか……


次回から旅立ちだと思います。やっとですw

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