訪問と姫
久々だし文章思いつかないしなんなんですかぬえ!
一万書くまで投稿やめるように努力します。
少女は昨日のことがあまりにショックだったのか、起きてこなかった。体力もないような風貌だったし、下手したら明日ごろに起きだす可能性もある。
腹もすかせるだろうと考え、俺は街で一番の市場にやってきた。街の雰囲気がかなりピリピリしているような気もするが、そんなことよりも自分と少女の食糧を確保しなくてはいけないだろう。前に買った果物はもう食っちまった。
市場のものは比較的安いだろう。とれたての魚が入っていたり、行商が露店を開いていたり、なかなかに活発だ。潮の香りが少しきついなと感じていたが、ここもなかなかいい街だ。
そこらの店で魚を買ったし、あとは少し観光をしてから帰ろう。話が好きそうなおばさんが店員でよかった。
おばさんの話を要約すると、俺が指名手配され、現在捕まればすぐにでも打ち首らしい。やけにピリピリしていたのはそのためだろう。計画と同じように行ってよかった。俺自身は危ない立場に立たされるが、それでも大事な一歩となるようだ。
エルフという存在を知ったその日、レティアさんに大事なことを任せられた。とても危険で、何時失敗して死ぬかもわからない状況になるかもしれないけど、人を助ける、人の役に立てる事だった。そのためのステップ1が指名手配。人々にエルフという人種が絡んだ事件を意識させることがこのステップのキモらしい。
行動に支障をきたす可能性がある。だが、やらなければ意味はないと言っていた。
「こんな大胆に動いて大丈夫なんですか?」
聞いた当初だ。もちろん、乗り気ではなかった。
「大胆に動くことで、人間にエルフが絡んだ事件を大きく見せることができる。そうすれば、嫌でも記憶のどこかに刻まれるでしょう?」
「それ以降の救出が難しくなる可能性もあります」
「ええ、それもわかっているわ。だから、あなた一人ではやらせない。サポートしてくれる人を付ける」
「それでも最初は自分でやりなさい。そうでなきゃ意味がないの」
この時のそうでなきゃ意味がない、という言葉が何を言っているのかは今でもわからないが、今後は一人じゃない。心強いことだろう。
少しばかり歩くと、海を見渡せる高台についた。地平線が見える。昨日の出来事が溶けて消えていくようだ。きれいな空に海の青。なんだかようやく心が落ち着いたような気がした。
……今は悪いこととして人に認識されている。それを引っくり返せるのも悪化させるのも自分次第。言われて動く人形ではないと思いたい。
せっかくいい景色なのに気持ちがモヤモヤしてたまらない。さっさと戻ってしまおう。景色程度では気分などよくなるものではなかったか。
宿に戻って少女の回復を待つことにしよう。
一週間が経過した。少女は目を覚まし、俺に名前を告げることもなく、部屋の片隅で過ごして一週間を過ごした。俺自身も逃げられると面倒で部屋から出ることができなかった。助けた時は友好的だったんだが……記憶がなくなったのか、冷静になったのか。事故前後の記憶は無くなることもあるようだし。
レティアさんがそろそろやってくる時間だ。ようやくこの空気から解放されると思うと心が躍る。
一週間の間、レティアさんは比較的人間に友好的なエルフを探し、俺のサポートとこれから救出するエルフをもともと住んでいた土地まで連れて行くように説得していたようだ。移動までにかなり日数を要すると思ったが、魔法を組み合わせると早く移動できるそうな。俺の魔力じゃとてもできない芸当だと思う。
しばらく少女を見張りながら考えていたら、部屋のドアが3回ノックされた。
「どなたですか?」
宿の人かもしれない。この状態でバレるのはまずい。
「私よ、レティア。もしかして忘れたとか?」
どうやら、ようやく助けが来たようだ。
「忘れませんよ、どうぞ入ってください」
ドアが開き、レティアさんと見知らぬエルフが入ってくる。品定めをするような目だ。金髪に碧い瞳をしたつり目はしばらく恐怖の目しか見ていなかった俺にとっては少しドキッとするような目だ。
「そちらの方は?」
久々に喋った気がする。少し声が震えた。
「久しぶりの挨拶はないのかしら?ん?でも久しぶりってほどでもないか。紹介するわ。彼女はエリーゼ。これからなかよくやってね」
「俺はライです。よろしく」
そう言って手を差し出すとエリーゼさんは機嫌悪そうなしかめっ面をしながら、
「君がライか。私はエリーゼ・アーベル。貴方の手伝いをさせていただく」
差し出した手を握ってくれた。
「一つ。私は人間が好きではない。だが、完全に嫌いと言うわけでもない。君が考えを改めさせてくれることを願うよ」
……レティアさん以外でこんなこと言えるエルフはいないと思ってた。この人は凄い。目からその言葉が嘘ではないことが読み取れる。
「そうだ、一つ言い忘れてた。エリーゼはエルフの王の娘。大切に扱ってちょうだい?」
またレティアさんは大きな爆弾を抱えてきたようだ!こればかりはシャレにならなくなってきた!道理で威圧感を感じるわけだ!
てかエルフの王って人間のこと憎んでるだろ!?娘を易々と人間の近くに置くはずがない!訳がありそうだ……ってそうじゃなかった!
「大変失礼いたしました!まさか王族の方がいらっしゃるとは思わず……」
元日本人として、大事なこと。1、誠意のある謝罪。2、そのための土下座。3、あとそのためのスライディング?
つまり、スライディング土下座。やってる姿は見たことないけど!顔は上げるわけにはいかないからどんなことになってるか
わからない!
「えーっと、それが人間の謝り方なのかい?変わってるのだね」
「違うわよ!人間はエルフに対して謝りすらしないの!この子が変わってるのよ!」
エリーゼ様には苦笑い、レティアさんには変わってると言われた。一日ほど、一人にしてほしい位だ……
「顔あげなさい!もう、つまらないことしてんじゃないの!」
渋々立ち上がる。案の定、エリーゼ様は苦笑いをしていた。
「さてと、じゃあ私はそこでボケッとしてる子連れてって治すから」
そう言うとレティアさんは少女に一言二言声をかけて、抱え、部屋から出て行った。少女は状況が掴めず、頭に?を何個も浮かべていたことだろう。俺だってそーなる。てかなってる。
「まったく、困った人だ」
エリーゼ様がポツリとつぶやいた。あ、そういえば。
「失礼ですが、魔法は使うことができますか?」
「ん、使えるが、君のように奇抜なものは使えないね」
てことは大抵の魔法が使えるってことか。これで少し楽になりそうだ。
「ところで、君は平民なんだろう?にしては礼儀があるじゃないか」
「ありがとうございます。ですが、そこまで礼儀のない平民は少ないと思います」
「ふむ、なら私の認識と君の認識に齟齬があるようだな」
どんな認識してんだろ。蛮族みたいなかんじか?獲物見たら殴るみたいな。傭兵はそうかもしれない。
「まあ、これからの語らいで合致していくことだろう。それと、私はあまり偉くはないんだ。礼儀はいらないよ」
「そのようには見えませんが……」
「これから先のことが聴きたいのなら、私に好かれるのが一番だよ。私は口が軽いからね。せいぜい、がんばりたまえ」
自分のことを下に見たり、上から目線だったり、不思議な姫様だな。これからは少し楽しくなりそうだ。
久々すぎでわけわかめ。書いてる本人がわけわかめ。